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息を整えているようなので、そのままその顔を見ていた。が、幾許もしないうちに狐がこっちをパッと見る。その頬はぽーっと赤く染まっていた。

「小鉄!」
「はっ?なに…?」
「我はお主の所へ嫁ぎたい」
「…ええ?……何それ、お前意味分かって言ってんの?神様だろお前」

ぶっちゃけると、俺にしては願っても無いことだった。いや、別に性奴隷とかそんな意味じゃなく、単純にこの綺麗な獣に惚れていたからだ。
しかしまあコイツは神様なわけで、勝手に連れ出したりしちゃあなんか起こるんじゃないのか…?

「いや、実は……特に問題はない」
「…へえ?」

問題が無い?
…これは連れて帰るしかあるまい。
 
 
 
 
 
「――ということで、別に日照りはコイツの所為じゃないって。つうか、妖怪から成り上がった神様だから天災とかは起こせないらしい」
 
狐の案内で村に帰って、俺は村長のところを訪れた。
 
「…コイツ…って…?」

ああ、村長は目が見えないから、俺の肩にべっとりくっついてるコイツが分からないんだな。
 
「神様だけど」
「…帰して来なさい……」
「え、いやだ」
 
家の外には、お供えを持った村民が沢山群がって来ていたとか。
狐の嫁入りというより、狐に取り憑かれたみたいだな。まあ、それでもいいか。俺はコイツが居たら後はどうでもいい。嫁ぎ先は村長の家なのだが、駆け込み寺のようなこの場所に住人がひとり増えるくらい構わないだろう。
かくして、俺は新婚(!?)生活を始めたのだった。


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あきゅろす。
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