2 かといって、大人しくしているとそれこそ殺される気もする。 僅かな抵抗を試みるが、まだ各所を縛られたままの身体では自由にならなかった。 「はは、無駄だっつの。おいお前ら、いつまで伸びてやがる!」 男の号令で、沼に落ちた二人が漸く這い上がってきた。 これは、絶体絶命というやつだ。 ああもう、こりゃ死ぬな。明日…明後日ぐらいには、新聞の一面を飾ってしまうかもしれない。 「安心しろよ、お前は殺さねえ。折角お綺麗な顔してんだ、薬漬けにして外国にでも売り捌いてやるよ」 「…っ、な…」 そんなの殺された方がマシじゃないか! なんて言うと、いますぐ殺されてしまうかもしれない。まだ隙がある今のうちに、どうにか逃げられないものだろうか。 「っ…君達、脱獄してまでしたかったのは、こんなことかい」 「ふん。邪魔者のお前がいなくなりゃ、後は勝手にするさ。俺達はなぁ、ムショ暮らしに飽きたんだよ」 その発想がわけわかんないよ!悪いことをした奴は捕まるのが道理だろう! こってり絞られてしおらしくなるどころか、まったく反省の色がないようだ。 正面の男を睨んでいると、這い上がってきた男のうちの一人が自由になっていた僕の腕を抑える。 そんなことしなくても、逃げられやしないのに。 かと思いきや、もう一人が僕の服を引っ張って前を破いた。 「…っ!な、何を…っ」 「薬漬けにするったって、薬は麻薬ばかりじゃねぇだろが。媚薬漬けにでもしてやるよ」 「ば…ッ、馬鹿なことはやめろ…!そんなことをして、何が楽しいんだ!」 流石に、血の気が引く。 こいつらの前に醜態なんか晒したくない。 そんな願いも届かず、正面の男は小瓶から錠剤を取り出し僕の口に無理矢理押し込んだ。鼻も口も塞がれ、僕はそれを飲み込んでしまった。 「…っ、くそ……」 ああもう、今日は厄日だな。 なんで寝てんだ、和田木のアホ。助けに来いよ。 などと心で悪態をついている間にも、薬の効力は全身に回り始めている。 「あ…っ、」 びく、と身体が揺れた。 それを合図とでもいうように、ズボンや下着もひっぺがされる。 「や、馬鹿…っ見るな!」 足で蹴ろうとするが、それも安々と止められる。 薬の所為か、外気に触れたソレは緩く勃ち上がっていた。 生死の境にいる今、こんなことで恥ずかしがっている場合ではないが、それは無理な話だ。 「効いてるな。よし、縄解いて押さえつけろ」 「了解、」 「っ!ひゃ、あ、…!」 なんだこれ、全身が敏感に感覚を拾う。 男に言われた通りの状態になった時は、もう浅ましい程に完全に勃ち上がっていた。 「あ…ッ、や…め、」 「は、まだなんもしてねーよ。ふーん…割りと強い薬みてぇだな」 オモチャでも見つけたように笑うと、胸の飾りを痛い程につねられる。 「あ゙ッ痛ぁ…!」 「こっちも勃ってるな」 いちいち実況しなくていいだろう…!何をするつもりなんだ! 心では叫びながらも、相手を刺激するのは良くないかと押し黙る。 しかし黙ってばかりじゃいられない、渦を巻くように全身を駆け巡る熱は、勝手には出て行かない。 「おい、遊んでやれ」 男の号令と共に、一人の男が巨根を押し付けて来る。もしかしなくても、口に含めということだろうか。 [*前へ][次へ#] |