8 楓は指を引き抜くと、上気した頬で此方をじっと見た。 俺の悪戯心は、ますます加速したようだった。 「…どうしたの?」 「…あ………」 「何して欲しい?」 唇を噛み締め、黙りこくる。 いじめるのは可哀想だが、こうやって恥じてる顔が好きだ。色んな表情が、俺を掻き立てる。 普段は絶対に見せない顔。 頬を撫でるようにすると、ぎゅ、と眼を瞑る。 「…ほら、黙ってちゃ分からないよ」 「………ばか。へんたい」 「分かってる」 割と真面目な顔で答える。其れでも楓は言えない、といった様子で此方を見ていた。 しょうがない、このままじゃ進まないか。其れを差し引いても、自分も其処まで忍耐強く無い。割りと限界値だったりする。 そんなわけで、ぐ、と楓の手を引く。 「じゃあ、自分で挿れてみて」 「え…あ?」 「其れぐらいは出来るでしょ」 「…う………」 言うよりはマシと判断したらしく、俺の衣服を細い指で脱がせ始めた。 触れられてる感じが、凄い愛しい。 「…っ、…」 言わずもがな、俺は既に勃ち上がっている。あんなものを見せられて平気な奴は皆無だろう。 しかし何もしていないつもりの当人は、驚いて眼をしばたいていた。 意を決したようにきゅ、と握ると、恐る恐る腰を落としていく。 向かい合わせの状態になった。 「……っ、う…ぁ」 一応は挿れようとしているが、羞恥からか余り力を入れない。 「…そんなんじゃ入んないよ」 「…わ、わかってるけど…!」 なんだ、分かってやってんの?なにそれ焦らしてんの? と言ってやりたい気持ちも十二分にあるが、此れ以上いじめることはよそう。 もたもたしている楓の腰を押さえると、ぐ、と押し上げる。 「あ、やだ、ん…っいた…!あ、ん…っ」 「…っ、ほら、腰ちゃんとおろして…!」 どうあっても腰が逃げるようで、無意識なのか故意か分からないが、いやいやと首を横に振る。 宥めるように肌に口付けをしていくと、少し大人しくなった。 見計らって、腰を掴んだ腕に力を入れる。 「…っ、ん…っあ、ぁあ…っ」 「大丈夫…、だから」 「ん…ん」 なるべく優しい声で言い聞かせると、こくこく頷いた。 ぐぐ、と俺のが埋まっていく。 其の箇所を見るのも卑猥だが、圧迫に耐えたような楓の表情を見るのも悦い。 埋まり切ると、懇願するような瞳で此方を見る。 「…自分でしてって言ったの、覚えてる?」 「…、ん……」 楓は控え目に頷いて、少し腰を浮かした。 内壁を擦る感覚に背筋を震わせる。 「ぁ、は…っんん……」 ゆっくりではあるものの、ちゃんと動き始めた。其れと同時に、腕が俺の首に回される。 まったく、生殺しなのは俺の方だ。何もかもが俺を煽ってるっていうの、自覚ぐらいして欲しい。 「は、あ、…っん、あ…」 「…、楓、…」 さっきから、同じところを擦っている。其処が気持ち良いんだろう。 其れに気付いてしまうと、俺は面白くなって笑った。 「そこ、好き?」 「…え、…あ……」 羞恥から視線を反らすが、腰の動きは止めない。 まるで自慰でもしているかのようだ。 [*前へ][次へ#] |