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終わらない世界の中で
07



「おせーぞ。やっと連れてきたか」

うわあ…朝から見たくないリボーンが迎えてくれた。病院内には既に沢田や山本、獄寺がいて俺が来た途端怒声を上げた。

「なんでテメーがここに!」

朝から耳が痛い。そんな大声出さなくても聞こえてるってのに。沢田から聞いてないのか…また説明するの面倒…。

「オッス、一条」

『おー』

山本は普通に挨拶してくる。獄寺に「挨拶すんじゃねぇ」とかなんとか突っ込まれてるが気にする様子もなく「まぁいいじゃねーか」と笑顔。それには沢田も驚いていた。何て言うアホ面…俺も内心吃驚してるが。

「ご、獄寺君…一条は俺の護衛でボンゴレファミリーなんだ。あ、一条って偽名でヒカルが本名らしいんだけど…」

「こんな奴がですか!?リボーンさんも考え直した方がいいですよ!」

「本当にお前何したんだ…」

『煩いなぁ。九代目が決めたことだ。異議があるなら直接九代目に言うんだな。無理だろうけど』

「有り得ねぇ…ふざけんな!どんなコネ使ったんだか知らねーがな、テメーみたいな弱い奴が護衛なんて務まる訳ねぇんだよ!!」

いきなり胸ぐらを掴まれた。身長差があるせいで少し爪先立ちになる。ディーノが慌てて止めに入り獄寺は渋々その手を離した。あー痛い、少し咳き込む。喧嘩っ早いのはどうにかならないものか。寛大な俺だからこそ大事に発展しないでいるんだ、早くそれを理解してほしい。

「それに十代目の右腕は俺だ!」

『そっか』

それだけか?と言いたそうな表情をしていたので『良いと思う』と言えば分かりやすく眉を顰め怪訝な表情をされた。

「ピエロって知らねーか?獄寺なら少なからず何かその名にピンと来る筈だぞ」

「聞いたことはあります。子供ながらにしていい腕のマフィアで受けた依頼は必ず成功させ正体を見せないと。ですが今これがなんの関係が…」

「そのピエロってのは目の前にいる奴のことだ」

「こんな奴が……」

それこそ信じられないって顔してる。当たり前か。

「それにこいつは俺も推薦したんだ」

「推薦ってどういう、」

「ツナの護衛に丁度いいと思ってな。九代目も快く承諾してくれた。同じことを考えていたと」

それは初耳。黙って欠伸して聞いてたらまた睨まれた。

「とにかく認めないからな!」

「俺は良いと思うけどな」

「なんだと!」

「人数多い方が賑やかでいいじゃねーか」

「そーいう問題じゃねー!」

何この二人、息が合ってるしコントみたい。

「大体こんな見るからに貧弱な奴なんて…」

『なら試してみようか』

「は」

背後に立ち後部に銃を突き付けた。

『仮にも十代目の右腕が背後取られちゃ不味いんじゃない?』

「テメっ…!」

『見た目で判断しないことだな』

彼の悔しそうな表情を見たのはこれで二回目。

「ストーップ。喧嘩する為に呼んだんじゃねぇんだ。ツナと獄寺と山本に届いてるリングについて説明する」

『関係ないから帰る』

どうせ長ったらしく初代の凄さとか言われるに違いない。そんなの無理、睡眠に宛てた方が時間を有意義に使える。引き止められる前に廃病院を出た。筈だった。

『手離せ』

「少しでいいから話聞けって」

『分かったから離せ』

手を払うとリボーンに名前を呼ばれ振り向いた。

「ヒカル」

何か投げ渡され片手で受け取った。掌を見ると掛けた指輪が綺麗な光沢で自分の存在を主張してるようだ。

『………何これ』

「見りゃ分かんだろ、指輪だ」

『いや、そうじゃなくて。そんなの言われなくても分かってる。なんでボンゴレリングが俺に渡されんだ』

「そんなのお前が守護者だからだ」

『………え、意味分かんない。パス』

指輪をリボーンに渡そうとするが両手をスーツのポケットに突っ込んでいて受け取らない。

『もっといい逸材いるだろ』

「お前しかいないんだ」

『荷が重すぎる』

仕方ないのでディーノに押し付けその場を離れた。こんなのただの逃げでしかないが今の俺にはそうすることが精一杯だったんだ。

「あ、オイ!…ったく」

「本当に彼奴で大丈夫なんスか?」

「心配ねーって。性格に難があるけどな…」








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