終わらない世界の中で
02
あああああ来てしまった着いてしまった。来る途中引き返そうか何十回も悩んだがちんたら歩いたら予定よりも大分遅れて目的地に着いた。
前方約十メートル先には駄菓子屋がありそこに黒曜中の制服を着た二人の少年がいる。一人はガムを「箱買いしよう」なんて言っていてもう一人は白い帽子を被りそれを早くしてと無言で見ていた。
…今しかない、よな?
誰か俺に勇気を下さい(元気玉でも可)。
『よお…』
遠慮気味に手を出し声をかけたが思いっきり睨まれた。こええええ。
「誰だてめえ!」
「あ………」
うん、予想通りの反応。千種は気づいたみたいだが犬は気づかない。
どうしよう、何から説明しようか。
「思い出したぴょん!沢田綱吉の傍にいた奴!」
『あ、うん。そうだけど今日は話があって、』
「俺達は話すことねーぴょん!今すぐ消えろっ!!」
ヤバイぞそんなん次言ったら泣くぞ。ガラスのハートが無惨に粉砕した!
「犬……あの人は敵じゃないよ」
遅い!もっと早く助けてくれても良かったのに。めんどいとか言うんだろうなー。
『…見覚えない?前にどっかで会ったとか』
「あ?ねーよ」
やっぱ分かんないか。自分だけ覚えてるって嫌だな地味に傷つく。
手っ取り早く分かってもらうにはカツラを取るしかないか…人通り少ないしいいよね。
『私のこと…忘れちゃったんだね』
日本へ来てから伸びっぱなしの髪が肩にかかる。今は夏なので凄く暑くカツラを取って涼しいが長い髪も暑い。結びたいが今は我慢。
「………」
『犬?』
折角カツラを取ったのに黙ってるからもしかして本当に忘れたのかと思ったら驚愕した様子だった。固まってる。
「ヒカル!?」
『うん』
「本当にヒカルか!?」
『他に誰がいんだ』
力強く両腕を掴まれじっと見つめ私だと分かると喜ぶどころか怒られた。
「今までどこにいたんだぴょん!」
『………ボンゴレ』
「は!?」
聞こえるか聞こえないかくらいの声でボソッと言ったら物凄い形相で睨まれた。
そりゃあ私も馬鹿じゃない。怒る理由は分かる。マフィアに復讐を誓ったのに今はそのマフィアにいる。怒らない方が可笑しい。
だが次に怒りの矛先は別の人物へと代わった。
「柿ピーは知ってたのか?」
「…ああ」
「なんで言わなかったんだよ!」
それに「めんどい」と返すと更に怒り出す。
あーもう煩い!
「…ヒカルが生きてて良かったぴょん」
嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
『勝手に殺すなよ』
「…口調変」
『仕方ないだろ!一応変装中なんだから』
「なんで変装してんのら?」
『任務中なもんで…』
「なんの任務?」
ズバッと聞くなぁ。
話ながら髪を纏めてカツラを被った。
『沢田綱吉の護衛』
「は!?」
なんでそんなことやってんだって目してる。千種にも言ってなかったから無言だけど物凄い驚いてる。
軽く説明したが犬はまだ納得できてない様子。
『このこと秘密な。ま、言う相手いないだろーけど』
「どーいう意味だぴょん!」
そのまんまって言ったらまた怒りだした。会ってからキレてばっかだ。これが犬…だからしょうがない。
『取り敢えず元気そーで良かった』
「お前もな」
よく脱獄できたなと言ったら骸が代わりに光の届かない場所へ幽閉されてしまったと言う。
「…代わりに女が来た」
『女?』
黒曜センター着いた。
なんでもここに住んでると。風呂とか食事はどうしてんのかと聞けば銭湯行って食事は適当に買って食べてると言った。その金はどうしてるのかは教えてくれなかった。
…何故ここに来たかと言うとその「女」がいるらしい。
それに着いてくれば会えるよなんて言われたら着いてくしかないじゃないか!
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