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終わらない世界の中で
06


「おい、起きろバカ蓮」

『……ん』

目を開けるとリボーンが俺の頬をペチペチ小さい手で叩いていた。「簡単に気絶させられやがって」と言われたが『うっせ』と一言返しといた。
頭痛い……。床で気絶してたせいだ。

『あれが沢田…?』

いつもと違う雰囲気と目付きの沢田が両手に黒いグローブをはめ立っていた。
額の死ぬ気の炎が段々消え、目付きもいつも通りに戻った。

「ああ。小言弾の効果だぞ。ツナの内に眠るボンゴレの血が目覚めたんだ」

グローブと小言弾はレオンが吐き出したと教えてくれた。

『終わったんだ…』

沢田が勝った。あの弱々しい奴が勝つなんて信じられないが倒れてる骸を見て実感する。
やっと会えたのにろくに会話をしてない。もっといろんなことを沢山話したかった。
涙を堪え骸の下へ行きそっと頬に触れようとした。

「マフィアが骸さんに触んな!!」

ビクッと肩が揺れ行き場を無くした手は虚しく空を掴み止まった。
それは地を這いつくばる犬の声だった。

「ひいっあいつらが!」

「ビビんなツナ。奴等はもう歩く力も残ってねーぞ」

「な…なんで?なんでそこまで骸の為に?君達は骸に憑依されて利用されていたんだぞ」

「分かった風な口を利くな…」

「大体これくらい屁ともねーぴょん。あの頃の苦しみに比べたら」

あの頃…思い出したくもない忌まわしい過去の記憶。

「…俺らは自分のファミリーに人体実験のモルモットにされてたんだよ」

「お前達は禁弾の憑依弾を作ったエストラーネオファミリーの人間だな」

「禁弾?それはてめーらの都合でつけたんだろーが」

…そうだ、お陰でエストラーネオファミリーは人でなしのレッテルを貼られ他のマフィアから酷い迫害を受けた。
外に出れば銃を向けられ簡単に殺される。まるで虫を殺すように…。
それが大人達が推し進めていた特殊兵器開発の実験にますます拍車をかけた。

そして子供は人体実験させられ周りの子は次々と死んでいった。


その現状をたった一人で壊したのが今ここにいる骸―――




「それを…おめーらに壊されてたまっかよ!!」

「俺だって…仲間が傷つくのを黙って見てられない…。だって…そこが俺の居場所だから」


言い終えた時、顔全体が包帯で覆われ全身黒ずくめの奴等が入って来、骸や犬や千種の首に鎖を繋げた。

「ちょっ…何してるんですか!?」

答える素振りも見せず奴等は引き上げていった。


『復讐者…』

小さく呟いた。
マフィア界の掟の番人で法で裁けない人達を裁く。関わらないのが身の為だ。

「あの三人どーなっちゃうの?」

「罪を裁かれ罰を受けるだろーな」

『……』


そこへ勢いよく扉が開き医療器具を持った白衣の数十人の医療班が来た。

「お待たせしました!」

声大きいなぁ…。
「今すぐ治療を!」なんて言われたから『俺は怪我してないからいい』と言って頭を掻きその場から立ち去ろうとしたら名前を呼ばれた。

「蓮!」

名字で呼んでた筈の沢田が突然下の名前で呼んだことに驚きつつも顔を向けた。

『…何?』

「…いや、なんでもない」

『そっか。んじゃ俺先行くわ』


医療班の横を通り過ぎ黒曜センターを後にした。






一ヶ月後

雲雀と二人で学校の屋上にいた。雲雀は寝転がり俺は隣で座り空をぼんやり眺めていた。


「ねぇ、」

『ん?』

「君にとって骸はどんな存在?」

『どんなって言われてもなぁ…』

うーん…と数十秒悩み、


『大切な人だよ』

とだけ言った。

バタン!と大きな音を立て入って来たのは風紀委員会に属する学ランを着たリーゼントの人。

「委員長!!本日は野球部秋の大会です!!」

風紀委員はなんで皆デカイんだろ…しかもリーゼントだし。聞きたくても聞けない…。

隣で欠伸する雲雀…初めて見た。その傍らには黄色い鳥がいる。前まではいなかったのに…でも可愛いなぁ。

最近ゆっくり過ごしてなかったから今日はなんだかほのぼのしてて気持ち良い。

(平和だ………)



その日の試合は山本がホームランを打ち野球部は勝った。





―――――
黒曜中編終わり\(^o^)/
遅くなってごめんなさいいいっ
0618




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