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終わらない世界の中で
05



『…っやっと着いた』

少し息を切らし扉を足で開け中に入る。疲れた。流石に二人を支えて歩くのはキツい。口には出さないが首が重い痛い肩が懲りそう。

「遅くなりました」

「雲雀さん!獄寺君!」

心配した様子の沢田が振り返り二人を見る。そうすると自然に俺のことも視界に入るわけで…。

「一条まで…なんでここに…」

『秘密』

それだけ言うと獄寺を壁際へ下ろした。

「蓮もういい」

『無理しない方がいいんじゃないか?』

「これは僕の戦いだから」

『…それじゃ後は傍観させてもらおうかな』

幾ら言っても無駄だろう。首へ回されていた腕を取り雲雀はフラつきながらも一人で歩き骸の元へ向かった。
骸がこっちを見て微笑んだ。気のせいかもしれない。それだけなのにとても胸を熱くさせた。


「覚悟はいいかい?」

「これはこれは怖いですねぇ」

我が儘だが両者共に勝ってほしいし負けてほしくないのが本音。

「蓮」

リボーンに呼ばれ視線を下にやる。

「医療チームを呼んでくれ」

『え、なんで俺が』

「いいだろ?」

『まぁ…うん』

断る理由もないので映画館を出て携帯を出しボンゴレと繋がってる医療班に連絡をとった。
何回か連絡したが通じない。あ、今の携帯だからいけないのか?
数十回目でやっと繋がり今の状況を告げ早く来るようにと場所を伝えた。


携帯をパタンと閉じ戦いが始まってる筈なのにやけに静かだなと覗くと骸が拳銃を自分の頭に当てていた。
嫌な予感しかしない。

(お願いだから止めて!)


私の願いなど届く訳もなく放たれた弾丸は骸の頭を撃ち抜いた。
彼はその場に倒れた。



骸は死んでなんかいない。
あれはきっと憑依弾、禁弾だ。

「憑依弾はその名の通り他人の肉体にとりついて自在に操る弾だぞ」

『そ。エストラーネオファミリーが開発した特殊弾。ただ、使いこなすには強い精神力と弾のの相性の良さが必要だ』

使用法が惨い為禁弾とされ弾も製法も葬られた筈だが。

沢田がなんでお前が知ってんだって顔してるが気にしない。
獄寺…いや、乗っ取られてるため今は骸か。骸と目が合った。彼は相変わらず目を細め微笑んだ。


「久しぶり、ですねヒカル」

『………覚えててくれたんだ』

「一時も貴方を忘れたことはありませんでした。どんな姿をしていても僕には貴方が分かります」

その言葉が嬉しくて切なくて、胸が苦しかった。

沢田が何か言いたそうな顔をしていた。
大体分かる。恐らく「二人は顔見知りなのか」とかそんなだろう。

「話を戻しますがマインドコントロールの比ではありませんよ。操るのではなくのっとるのです。そして頭のてっぺんから爪先まで支配する。つまりこの体は僕のものだ」

「ランチア程の男を前後不覚に陥れたのもその弾だな。だがなんでお前が持ってんだ?」

「僕のものだから…とだけ言っておきましょう」

強ち間違ってなかったりする。

「クフフフ目的ではなく手段ですよ。若きマフィアのボスを手中に納めてから僕の復讐は始まる」

「な…」

そんなこと考えていたのか…復讐は何も生まないというのに。

「蓮」

今度はなんだとリボーンに耳を傾ける。

「お前は外にいろ」

『リボーンの命令でもそれは嫌だ。俺は最後までここにいるよ。勿論手出しはしない』

リボーンは「そうか…」とだけ言い、帽子を深く被り直した。


『あの剣で傷つけられると憑依を許すことになるから気を付けろよ』

「そ、そんな!」

「もっとも僕はこの行為を契約する、と言っていますがね」

ビアンキに憑依した骸が今度は雲雀を傷付け乗っ取った。

『……っ』

やっぱり見ていられない。見ているのは辛すぎる。
瞬間、目の前に獄寺が立ちはだかった。

「貴方に手出しされては困りますから…暫くの間気を失ってもらいます」

『むく…ろっ…』


目の前が真っ暗になり意識を手放した。









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