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終わらない世界の中で
02


「山本ー!!」


騒がしいなと思い来てみれば獄寺の叫び声と共に太い木の幹に山本の背中が強く打ち付けられたのが丁度目に写った。
その衝撃で気を失ってるみたいだ。鋼球を持った男がとどめをさそうとする動こうとしない。
獄寺が立ち向かおうとするが胸を抑え倒れた。
そういえば沢田が見当たらない。大変な時に一体どこに行ったんだ!

「させないわ」

ゴーグルを付けたビアンキが両手に異臭を放つ料理?を構えた。

この状況は助けた方がいいのか…今回は手出しするつもりはなかったが仕方ないか。


「コラァ!!何やってんだー!!!」

怒鳴り声と共に木々の中から現れたのは先程まで見当たらなかった沢田だった。
どうやら俺の出番はないらしい。


「降りてこい、ボンゴレ」

男がビアンキに向け鋼球を放った。
それよりも早くリボーンは最後の死ぬ気弾を沢田へ撃ち死ぬ気になった沢田は素手で鋼球を受け止めた。
今のはリボーンが凄い、ということにして最後まで見ていたいがこの場は沢田に任せよう。
簡単に死なないと思うし第一この男は骸じゃない。
沢田達よりも早く骸に会いたい…。






一番怪しい黒曜ヘルシーランドと崩れた看板がある建物に入った。

入ったはいいが建造物の残害ばかりで荒れ果てていた。それに歩きにくいし何よりも近くの階段が破壊されていて上に上がれない。
階段は他にもあるだろうと何ヵ所か探したが全て壊されていた。
自ら退路を絶つなんて…ここに骸と千種は確実にいる。

早く会いたいという気持ちと私なんかが会っていいのかという二つの感情がぶつかる。
ここで結局会わなかったら後悔するだけだ。
だが会ったところで何になるのか、相手は私のことを忘れてるかもしれないのに。

歩いてるうちに非常用のハシゴを見つけた。
いくら考えていても仕方ない、行動あるのみ!

ハシゴに手を伸ばそうとした時だった。



「何をしている」

ビクッとしながら振り向く先には深く帽子を被り眼鏡をかけた見覚えのある顔立ちをした少年が立っていた。
その手にはヨーヨーが握られている。

『えっと…』

吃りながらよーく顔を見るが何度見ても同じ。
間違いない、千種だ!

だが相手が変装してる私に気づくはずもなく握りしめたヨーヨーで突然攻撃してきた。

『あっぶなー』

避けきれず少し頬を掠め遅れてヒリヒリと痛みだす。
次の攻撃を繰り出そうとまたヨーヨーを構える。

『待って千種!』

「なんで名前を…」

どうして名前を知ってるいるのか不審に思ったらしく尚更表情が険しくなった。
手っ取り早く私だと信じてもらうにはカツラを取るしかない。忘れてたら意味ないけど…。


パサッと短いカツラを取ると露になるのは長く綺麗な髪。


『私のこと…忘れた?』

「……ヒカル…?」


見開かれた目に私はどう写っているのだろう。


『うん』

久しぶりに千種に呼ばれた名前に微笑み頷く。

「忘れるわけない」

不意に抱き締められた。
千種の腕にスッポリ収まる。数年の間にこんなに身長差ができたなんて…なんだか悔しいけど嬉しかったり自分もよく分からない。


『良かった、千種に忘れられたらどうしようかと』

千種に限ってそれはないか。


「…小さい」

『千種が大きいんだよ』

背中に腕を回した。
男の子だなぁ、なんて思いながら。


「会いたかった」

『私も』



ゆっくりと離れた。
私の顔を見つめ先程で掠めた頬に触れた。

「頬…血出てる。ごめん…」

『いいよこれくらい』

それよりも千種の方が沢山怪我をしている。
どうしてそんなに傷だらけなのか聞きたい。
けど聞けなかった。


『それじゃあ行くね。安心して、私は誰にも攻撃はしない』

「…骸様なら上にいる」

『ありがとう』


今何しているのか、何故ここにいるのか、聞きたいことは山ほどあるはずなのに千種は何も聞かなかった。それは私もか…。









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