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終わらない世界の中で
02


おぉ、ラッキー!
良い事に屋上には誰もいなかった。当然か、今は授業中だし欠席者が多い。で、貸し切り状態。

フェンスに凭れかかった。天気は快晴。綺麗な青空に太陽の陽射しを直に感じる。
暑い、夏だな。

『あーあぢー…』

夏場はズボンが蒸れる。こういう時スカートが羨ましいが履く気にはならない。一応変装してるわけだし。


『あ…思い出した』

さっきのツンツン頭、内藤ロンシャンだ。トマゾファミリーの後継者。確か同じクラスに中年のおっさんがいつも一緒にいたな。ある意味目立つ。
誰か分かってスッキリした。


ほんの僅かだが気配を感じた。殺気にも似た緊張感をも感じる。

『リボーン、そこに居るんだろ?出て来いよ』

後ろを振り向くと帽子を被り黒いスーツにおしゃぶりを首から下げた赤ん坊が出て来た。傍から見ればまだ幼い赤ちゃんが二足で立ち喋ってさぞかし愉快だろうに。

「よく分かったな」

『ほぼ勘だけど』

空気の様に馴染み隠れるから最初こそ全く分からなかった。

『………それどうした?』

それというのはリボーンの帽子の上に乗ってる丸い物体のこと。

「繭になったレオンだぞ」

『レオンって繭になるのか…』

謎だ。ディーノの時もなったらしいがカメレオンが繭になるって…。


「学校で大変な事になってるらしいなヒカル」

『知ってんだ』

「ツナが言ってたぞ。最悪な転校生が来たって」

『最悪、か…。まさかリボーンまで俺がやったと、山本のユニフォーム破ったと思ってんの?』

「んな訳ねーだろ」

『なら良かった』

リボーンはフェンスに座った。見てると危ない。そう簡単に落ちないだろうが見てる方は心配だ。

『んで、本題は?』

「知ってるだろうがこの土日で並盛中の風紀委員八人が重傷で発見された。やられた奴は何故か歯を抜かれたらしい」

『へー…』

黙って相槌だけする。

「今朝は笹川了平がやられた」

『笹川ってまさか』

「京子の兄だ」

確かクラスメイトだったな…。兄の方は早朝よく町内を走ってるのを見掛けた事がある。んで軽く絡まれた、「ボクシング部に入らないか」と。それもしつこく。勿論断ったが。

「イタリアで起きた集団脱獄は知ってるか?」

『アレだろ、二週間前脱獄事件があって脱獄犯は看守と他の囚人を皆殺しにしたっていう』

マフィアの情報網だと日本に向かったという足どりを掴めた。そして黒曜中に三人の帰国子女が転入し、あっという間に不良をしめたのが十日前の事だ。

「そうだ。そのリーダーの名を六道骸という」

『………』

骸、か。となるとあとの二人は犬と千種だ。
黙り込む俺にリボーンは不信感を抱いたのか不安要素を吐き出した。

「お前まだ関わってんじゃねぇだろうな」

『どうやって。俺に相手との連絡手段はない。それに俺はボンゴレに全てを捧げてる。今さら裏切るなんて、』

「…そうだったな。疑って悪かった」

『いいよ別に。誰だって最初は疑うだろうから』

関わりのあった、自分を。



『これからどうする?』

「骸達を倒す」

『おー頑張れ』

「ヒカルもだぞ」

『分かってるって。場所は?』

「黒曜センターだ」

『んー…後から行くよ、心配だし。危険な状況にならない限り手出しはしないけど』

「そうか…」


『リボーン、ここじゃ名前は蓮だからそー呼んで』

「ああ。いつまで男装してるつもりだ?」

『いつまでだろう…取り敢えず沢田にバレるまで。九代目からは同い年の女の子に守られるのは嫌だろうからって変装してるだけで…ああでも仕事上正体バレんのは嫌だから当分はこのまま』

「…あまりハマるなよ」

リボーンが言った「ハマるなよ」とは殺しの事。俺へ立て続けに入る以来量に心配してるようだ。
いつかは抜け出せなくなるから。


『分かってる』

何もないかのように言う。リボーンの目はもう疑ってなんかなかった。

けどもう遅い。既に抜け出せなくってしまった。
人を、殺しすぎた。


(嗚呼、彼は今の私を見たらどう思うだろうか)





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