終わらない世界の中で
02
暫く廊下を歩いてると筋肉質で長身のバッチリ決まったリーゼント頭の人が応接室から出て来た。
「一条さん」
そのまま擦れ違おうとしたが呼び止められた。向かい合うと見上げる程高い。羨ましい、毎日牛乳飲めばこんくらい大きくなるかな…。余計な方へ思考がいってしまったが慌てて今度はちゃんと考える。
何処かで会ったっけ…雲雀と同じ学ラン着てるという事は…。ああ、思い出した風紀委員の副委員長だ。
『あ、えと…草壁さん』
「委員長なら中にいますよ」
『ありがとう』
「ではこれで」
礼を言うと草壁さんは行ってしまった。
度々見掛ける。恐らく雲雀と一番仲が良い。最初見た時は如何にも不良っぽくて怖いなと思ったが話してみると優しい。人は見掛けによらないなと改めて思った。
コンコン、と軽くノックし返事を待たぬままドアを開けた。
ガチャ
『入るぞー』
返事を待たずに入るのは最早お決まりとなったがいつもなら入ると声を掛けてくれるのに今日は聞こえない。
居ないのかと思ったがソファに寄り掛かり眠る雲雀の姿を見つけた。
『雲雀?』
小声で呼んでみたが起きる様子はない。鞄をその場に置き起こさない様そっと前に近付いた。静かな部屋に規則正しい寝息だけが聞こえる。
『(綺麗な顔…)』
白い肌に黒髪が良く映える。近くで見れば見る程引き込まれそうになる。こんなに無防備な姿初めて見た。いつもどこか身構えてる気がして壁を感じてた。今は隙だらけ。
黙ってればモテると思うんだが…。
無性に頬を触りたくなってきた。ついでに鼻も摘みたい…!流石にそれをしたら起きそうだが頬を触るくらいなら…。柔らかそう、今触らなきゃ次なんて無いに決まってる。こんな機会易々と見逃す訳にはいかない。
そっと、更に静かに手を頬へ近付けついに触れた。ああ、予想以上に柔らかい。それにスベスベで気持ち良い。
『かっ…可愛い』
顔を綻ばせた。
調子に乗りもう一度触れようとしたが、不意に腕を掴まれた。
「何してるの」
ビクッ
『お…起きてたの』
先程の喜びは一瞬で消え一気に顔が青褪める。寝てた筈なのに今は目を開け起きてる。鋭い目が俺を捉え射ぬく。
「僕が質問してるんだけど」
腕を掴まれてる為離れられない。目が合う。顔が近い。激しく波打つ心臓の音が聞こえてしまいそう。
口調が心なしかキツく感じる。怒ってる…怒るよな。寝てるとこ頬触ったんだし。
『…いや…その…』
「言えない?」
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