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終わらない世界の中で
01




『……』

もう慣れた。我ながら自分の神経は太い方だと自負してる。
まだ数えるほどしか登校してないが周りからの容赦ない陰口や痛い視線。それに机や椅子にまで及ぶ落書きに下駄箱のゴミ。上靴はどこかに隠されて見当たらない。いや、ゴミ箱と化した下駄箱の中にあるかもしれないがあっても履きたくない。開けた瞬間ゴミが出てきたから。それに異様な臭いもした。だから勝手にスリッパを履いてる。教科書を置いてけば絶対なくすかグチャグチャになると予測出来たので重いが持ち帰った。
この前雲雀に助けられてからめっきり暴力は減った。あれ以来殴られた事は一度も無い。だが今度は嫌がらせが増えた。どんどん陰湿で過激になってくる。それに対して俺はため息ばかりが口から出る。幼稚だな、と。
ツナ達とも一切話さなくなり明らかに避けられてるのが分かる。

こんなんじゃ真面に授業受ける気すらない。所詮自分には要らない関係ない(無駄な)知識ばかり。

こういう場合は取り敢えず…応接室に行こう。もう何回か行ってるが保健室より一番落ち着く。雲雀は何も言わないし聞いてこない。お互い余計な詮索もしない。だから安心していられる。保健室はベッドで寝れるのはいいが何せ先生がシャマルだ、安心して寝れやしない。
行って何をする訳でもないが此処に居ても目障りだろうし。

教師等も俺が雲雀の関係(別にやらしい意味じゃない)を知ってか知らずかサボっても何も言ってこない。これはこれで好都合。


何故か雲雀は授業に出ていないみたいで屋上で寝てるか応接室に居る。…勉強しなくていいのだろうか?義務教育の筈だが…。結構分らない事が多いが聞くのも気が引けるのでそのまま。重要な事でもないし。知らなくとも何ら支障はない。


鞄を持ち直し来た道を戻ろうとした。

「逃げんのかよ」

教室を出る時誰かが言った。確かにそう聞こえた。立ち止まりそうになったが構わず足を進める。



逃げる?
そんなつもりは毛頭ない。いつだって逃げ出さないでずっと耐えてきたじゃないか。


今回は安楽を求め別の場所へ行く。

人はこれを「逃げる」というのか。

だとしたら私は…気付かずうちに逃げているのかもしれない。
楽な方へ、自分だけただひたすらに。









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