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終わらない世界の中で
04





「着いた」

『ここ?』

「うん」

着いたのは「応接室」とプレートがある扉の前。普通なら一般生徒はここ使えないんじゃ…どうやったんだろう。聞いてはいけない気がする。

『応接室じゃん』

「そうだよ」

『良いとこ使ってるな、風紀委員は』

中に入ると綺麗に整理された室内だった。その前に物があまりない。

「まあね。下ろすよ」

そう言ってソファに下ろされた。ここのソファふかふかしていて気持ち良い。さすが応接室。

「はい」

机から何か取り出すと俺に向かって小さな四角い箱を投げた。

『わっ』

慌てて両手で受け取ると絆創膏だった。まだ新品で中に沢山入ってる。

「口元…血出てるから」

『あ、ありがとう』

怖い奴だって聞いたけど根は優しい奴なんだ。絆創膏貰ったし。やっぱ噂は当てにならない。

『あ、あの雲雀さん』

「雲雀でいい」

『えと、雲雀助けてくれてありがとう』

「別にいい」

素気ない。本当にどうでもいいというような表情だ。

『一つ聞いていい?』

「いいよ」

『…何で俺を助けた?』

「僕は群れてる奴等が嫌いでね。見ていて虫酸が走る」

群れるのって。そしたら友達作れないじゃん。作るなって事?あ、騒がしいのがダメなのかな、友達とのばか笑いとか。そして一生友達できな…でも待て、それって答えになってなくないか。

「君に興味を持ったから、かな」

『え』

興味って…それは良い事なのか?自分の身が危ない気がしてきた。

「君、女でしょ」

『……』

何で知ってるの!?驚きのあまり返答できない。

「この時期の転校生は珍しいからね。少し調べさせてもらった」

『調べたって一体どこまで…』

「気になるところだけ。安心しなよ、変装してる事は誰にも言わないから」

『…どうも』

安心してと言われてもそう簡単に信じる奴はいないだろう。どうやって調べたんだか…シャマルに雲雀まで知られてしまった。

『あと"君"じゃなくて一条蓮ね。蓮って呼んで』

「蓮」

『ん?』

「…いつでもここに来ていいから」

『雲雀さ…じゃなかった雲雀、ありがとう』

何故こんなに優しくしてくれるんだろう。怪しいと思わないのか。俺はその優しさを返す事はできないのに。


『…もう一つ悪いんだけどさ、野球部のユニフォーム一着用意できないかな?』

「ユニフォーム?いいよ、用意しとく」

『本当?ありがとう!』

凄い、ダメもとだったけど言って正解だった。まさかユニフォームまで用意出来るとは…風紀委員はなんでもできるのか。

『じゃ失礼しま…』

「立てないでしょ?」

あ、そーだった…。どうしよう、さすがに雲雀に何回も迷惑かけるわけにはいかない。

「いい。僕が運ぶ」

運ぶ?まさか…まさかまたあのお姫様抱っこ!?恥ずかしすぎる!

『遠慮する!』

「しなくていい」

『いいやする!本当俺重いから!!』

「重くない」

『重いしいいってーっ!!』






「着いたよ」

『…ありがと』

必死の抵抗も空しく結局あの後粘りに粘って雲雀の背中に背負われて保健室まで運ばれた。お姫様抱っこよりはマシだけどいいけどさ…ってよくない!
迂闊にも雲雀と話が出来て少し楽しいと思った。


その後はシャマルに車で家まで送ってもらい無事に帰る事ができた。が、自ら借りを作ってしまった…。



(たまにはこんな日もいいかもしれない)





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