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終わらない世界の中で
02


「山本は、お前を助けたじゃねェかっ!!」

助けた?ああ、皆の前で助けてくれたんだ。今俺は裏切り者になってるってわけか。

ドガッ

『けほっ…』

殴られ床へ倒れこむとそこでお腹を蹴られ鈍痛が走り痛みお腹を抱えた。

「テメーにはこんなんじゃ足りねェよな」

一人の生徒が鞄から何か細長い棒状の物を取り出す。

「おい、コレ使っていーんじゃねーか?」

「でもそれ…」

「いいって。使っちまおーぜ」

見えない所で話しが進んでいく。手元を見ると見慣れない物が握られていた。
…あれは…あのバットは山本のじゃ…。

「死ねよ」

どんどん近付いてくると両手でバットを掴み俺に向かって思い切り振り落とした。

バキッ!!

『…っつ…』

勢い良く振り落とされたバットは背中に当たった。

痛い。身体もだしそれに胸まで。なんでだろう…自分は殺し屋なのに、こんな…皆に恨まれても平気な筈なのに…「死ね」と言われるのは嫌なんだ。いてもたってもいられなくなる。

「…オイッ!立てよ!!」

ガンッッ

バットで腕や腹、脚まで叩かれ蹴られた。実感は無いが肋骨二、三本折った気がする。…さっきバットで殴られたところが痛い。


「ねぇ、花」

先程から話しかけるタイミングを見つけ遠慮気味に隣りに居る友達の名前を呼ぶ。

「どうしたの京子」

呼ばれた子は殴られている人物に向けられている視線を隣りへ向けた。

「獄寺君ちょっとやり過ぎじゃ…」

「アイツは奏美や山本に酷い事したのよ?」

「で、でも」

「これじゃ足りないくらいだわ」

「花…」

「それに、逆らったら次は私達が危ない」

「……」

その台詞に返す言葉を失う。今の彼等は容赦ない。歯向かえば何をされるか…。見ていられなくなり目が合った気がしたが蓮に向けてた視線を逸らした。


あれ…気のせいかな。確か…笹川とかいったっけ、そいつが俺の事を心配そうに見てる。そんな訳ないよな。このクラスの連中に俺を心配してる奴なんている訳がない。
そろそろ限界…意識が飛びそうだ…いっその事気絶した方がいいのかもしれない。そうしたら一瞬でもこの痛みを忘れられる。

「寝てんじゃねーぞ!!」

ガキッ

『…げほっげほ』

そう簡単に意識が飛ぶわけもなく殴られる度に現実へ戻される。抵抗しない俺はやられ放題。
いつまで続くんだろう…これは。あの頃の実験の様に永遠に終わりなんてないのか…。



突然教室のドアが開いた。









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