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愛は僕等を救わない
02



「…お前か」

僕を見た途端眉を顰めた。大きな扇子を構え戦闘体勢に入るが僕は戦う意志はないと、武器を持たず近付く。

『戦う気はない。聞きたいことがある』

「我愛羅を止める方法なら知らないぞ」

『本当に?』

「ああ。最早こうなってしまった今、嘘を吐く理由はない」

…なら力付くで抑え込むしかないのだろうか。

「簡単に止められるなら既に私が止めている。その方法がないから為す術もなく指を銜えて見ているしかないんだ」

僕が知っている強気な彼女の影はなく目の前のテマリは悲観的だった。

「何をするつもりだ」

『彼を止める』

「不可能だ。完全体になりかけてるんだ、我愛羅が狸寝入りしたらこの森が無くなるぞ。そしてソラも…!」

僕を心配してくれてるのか。

「最初は人違いだと思ったがそうじゃなかった。私達はソラを知っている。勿論我愛羅も同じだ。お前は忘れているようだが…」

気のせいなんかじゃなかった。僕は幼少の頃砂の里にいたんだ。訪れたことがない筈の砂の里の風景が断片的に浮かぶ。そこには幼い僕と…。
詳しい話はこの戦いが終わってから聞かせてもらおう。

「ソラ…お前なら我愛羅を…」

『………』

『止めてみせる』なんて言えなかった。正直止められる自信は皆無。だけどやるしかない。

木々を飛び移りながら音が大きくする方へ移動していくと見つけた。見るからに一方的な戦闘だった。それでもナルトは戦うことを止めない。

「俺が怖いのか?自分の為に戦うか…他人の為に戦うか…。自分だけを愛してやればいい!自分の為だけに戦え!それが一番強い者の定義だ!!」

『違う…』

彼は愛されたいだけ。
強さなんて求めてない。

「まだまだァ!!」

傷が増え何度倒されても立ち上がる。もう止めて、ナルトが一体何をしたというの。

(水遁、水龍弾!)
気づけば手は印を結び攻撃を繰り出していたが練るチャクラも威力も弱い術はあっさり躱された。大きな図体して俊敏なんて…嫌な奴だ。やりにくいったらない。
次は火遁の術にしようか、砂に火は効くのか考えていると一瞬彼の悲しそうな目が僕を捉えた。自分を愛し強さを確かめる為戦う、終わりが見えない戦いにこんなこと本当はしたくないんだと訴えているようだった。目の前いっぱいに彼の姿が映ったと思えば片腕で簡単に僕の体は投げ飛ばされ大木に背中を打ち付けた。

『ゲホッゴホッ…』

痛い…地面に片手をつけ血を吐き出す。蹌踉け大木に掴まりながら立ち上がる。骨は折れてないみたい。だが一撃でこんなに…。ナルトはどれくらい痛かったんだろう。自分の無力に唇を噛み締めた。
時折幼い頃の我愛羅の悲しそうな姿が脳裏をちらつく。本人はこんな運命望んでいなかった。純粋にただ、一緒に遊んでくれる友達がほしかっただけなのに。


『やめて!!』

二人の間に飛び出した。ナルトは攻撃を躊躇し、我愛羅はそのまま自身の腕でまた僕を投げ飛ばした。だが今度は機転を利かせナルトが僕を受け止める。

「バカ野郎!!いきなり飛び出すなんて何考えてんだってばよ!」

『君なら受け止めてくれると思ったから』

そう言えばそれ以上怒ることはなくなったが「本当に馬鹿だってば」と小さな声で呟く。

「ソラ。俺は絶対彼奴に勝つ」

だからここに居ろ、と犬と大木に体を預けナルトを見守る。影分身をし秘伝体術奥義と言うからもしやと思えば案の定浣腸だった…クナイで。少し間があった気がしたが直ぐに尻尾で攻撃されたがサスケがナルトを受け止めた。するとボカン!と爆発した。クナイに起爆札を付けたのか。

『ナルト…僕は我愛羅を助けたい。本当はこんなこと望んでない!彼は寂しいんだ。寂しくて悲しくて、でも愛されたくて…だから、』

『お願い…我愛羅を助けて』

小さな掠れた声しか出ない。情けない、僕は見ているだけで結局誰かに頼むことしか出来ないんだ。自分じゃ行動に移せやしない。僕なら、と思ったが思うだけで震えてる。怖い?悲しい?

「分かった。彼奴は必ず俺とサスケが止める。だからソラはサクラちゃんを頼むってばよ」

小さく頷いた。
ナルトの言葉が力強く安心した。君なら本当にどうにかしてくれそうだから。



ねぇ、早く気づいて
君は一人じゃない









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