愛は僕等を救わない
01 シカマルside
今よりも少し成長したソラが立っていた。身長も伸び髪も長い。だが目線は俺の方が高いということは自身も成長してるんだろう。名前を呼ぶと俺に笑顔を向けている絶対に有り得ない。不覚にも可愛いと思ってしまったが次の言葉で一気に冷めた。
『ごめん』
笑顔が消え少し悲しそうな目が見えた。
意味が分からない。
何に対する懺悔なのか。
近付き一メートルもない距離まで来たがソラは顔を伏せ謝るばかり。
「どうしたんだよ」
『…一緒にいちゃいけない』
「な…何言ってんだよ」
『僕と一緒にいちゃいけないんだ…!』
「意味分かんねぇよ!!」
肩を掴み問う泣きそうなソラを見て、何が原因でそんな顔をしているのか、こんなことを言うのか分からなく悲しくなった。
『僕は…』
脆くすぐ壊れそうなその姿を抱き締めた。俺の中で小さく嗚咽を漏らし涙を流していた。
「絶対嫌だ。何があっても俺は離れない。ソラの傍にずっといる」
『シカマル…ありがとう』
俺がソラを支える。決して一人にはしない。だからお願いだ、ソラも俺の隣にいてくれ。
急に下腹に鈍い痛みを感じ触れれば血が出ていた。
「な、なんで…」
腹に深く突き刺さるのは短刀。
「…ソラ…っ…」
『………』
崩れゆく俺を無表情で見下ろす彼奴が怖かった。
小さな蛇がソラの肩に乗りチロチロ舌を出していてまるで俺を嘲笑っているかのようだった。
それが夢だと気づいたのはついさっき。朝方に目が覚めた。少し慌てて下腹を確認すれば当たり前に傷跡はない。時計を見ればもう一眠り出来る時間だ。
全く変な夢を見たもんだ。今日は本選だというのに。
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