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愛は僕等を救わない
07



『ん…』

微かに聞こえるのはサクラとシカマルとナルトの会話。僕の名前を呼んだ気がしたが起きたくない。

「………起きねーな」

「本当に幻術返ししたんだよな」

「ちゃんとしたわよ。起きなさいソラ!」

煩い…もう少し寝かせて……。寝返りを打ちもう一度深い眠りへ…はいかなかった。

「早く起きろ」

『痛っ!』

サクラの声いきなり低くなった?否、そんなわけない。聞き覚えのない声がしたと思ったら何かに足噛まれた。上半身を起こし足下を見れば中々に可愛くない木ノ葉の額宛をした小さな犬が居た。え、もしかしてこの犬がさっき喋ったの?

「ワシが可愛いからってそんなに見つめるなよ」

うわ、喋った。腹話術じゃないよな?軽く両頬を引っ張ると「何するんだ」とモゴモゴしながらやっぱり喋る。

「いつまでソレ触ってんだ」

『あ、シカマル』

だってさわり心地良い。きっと抱き心地も良いんだろうな。可愛くないけど。

「あんた本当能天気ね。周り見なさい!」

『………何この状態』

犬の頬を引っ張ったまま言われた通り辺りを見渡せば荒れていた。一般人は幻術のせいで眠ったまま。試合場には我愛羅やサスケの姿はなく変わりにと言ったらなんだが審判と砂の忍が二人いた。どうやら芳しくない状況みたいだ。いつになく真剣な表情のカカシ先生とガイ先生が周りの敵を倒していく。

「では任務を言い渡す!サスケの後を追い合流してサスケを止めろ!そして別命があるまで安全な所で待機!」

彼奴何処行ったんだ。
ナルトが理由を聞こうとしたがサクラに引っ張られガイ先生が開けた穴から行ってしまった。まだ覚醒してない頭では状況が掴めず意味が分からない。

「ったく、何で俺が…。ソラも行くぞ」

『ちょっ…!』

引っ張られサクラ達の後を追うように森へと駆け出した。その時に四人と一匹で走りながら先程のことを簡略的に説明された。逃げた我愛羅の後をサスケが追ってる、と。逃げた理由とかまだ分からないんだが。

「で、なんで俺が駆り出されんだよ。くそめんどくせーな!」

『シカマルとナルトは試合終わったばっかで使えないだろうに』

「しょうがないでしょ!カカシ先生の命令なんだもん!」

「ソラ!使えないってなんだってば!」

『疲れて戦えないんじゃないかなーって』

「疲れてないっての!全然戦えるぜ!」

「馬鹿。戦う為に行くんじゃねーだろ。目的忘れんな」

『忘れてないって』

少し古臭い喋り方の犬が怒鳴った。

「お前等もっとスピード上げろ!後ろから二小隊八人…否、もう一人…九人が追ってきとる」

「おいおいもうかよ!?冗談じゃねーぞ!!」

犬曰く、僕等の正確な位置までは掴んでないようだが待ち伏せを警戒しながらも確実に迫ってきてるとのこと。幾らなんでも早い。

「恐らく中忍以上の奴ばっかだ…追いつかれたら全滅だぜ!」

「こうなったら待ち伏せてやっちまうか!?」

「そりゃ駄目だ。相手は元木ノ葉の忍だった大蛇丸の部下だぞ」

「いけると思ったけどやっぱダメか…」

僕にはどうしていけると思ったのか謎だ。

「そんなの関係ないんじゃない?」

「どういうことだってばよ!?」

「分かっちゃねーなお前等!いいか!確かに待ち伏せは有利な基本戦術だがそれには二つの必要条件がある」

一つ、逃げ手は決して音を立てずに行動し先に敵を発見する。
二つ、追っ手の不意を狙え。確実なダメージを与えられる場所、位置を獲得し素早く潜伏する。
この両方が確実になされて初めて待ち伏せは有効になる。
一つ目の方は忍犬の鼻があるから然程難しくはなさそうだが。二つ目の方は自国の里である俺達の方が一見地理を良く知っていて不意をを突くのに最もいい位置を獲得できそうだが木ノ葉にいた忍の部下じゃその手は効かない。

『追っ手はこの里の地形を教え込まれこの戦いの為に模擬練習を重ねてきた追跡術をマスターした忍者ばかりだろうし』

「それでも待ち伏せが有利なのに変わりがないが不確定要素が多すぎる!大体…敵さんはこの計画の為に編成された忍者部隊。ところがこっちは…馬鹿に…アホに…大した取り柄のないくの一に犬一匹。…と逃げ腰No.1の俺だぜ!」

威張って言うことじゃない。馬鹿はナルト、これは納得したがアホって僕のことなのか。

「今の俺達に出来るとすりゃあ…たった一つ…待ち伏せに見せかけた陽動だ…。一人が残り待ち伏せのように見せかけて足止めする」

囮、か…。嫌な役だ。この歳で殉職って笑える。

『足止めすれば残りの四人の位置は掴めなくなる。そうすれば追跡は撒けるけど囮になった人はきっと…死ぬ』

「で……誰がやる?犬さんはサスケを追うのに必要だ。とすると」

「分かったってばよ。俺が…」

「俺しかないか…」

『……』

「全滅するよりゃマシだろ。それに囮役を十分に熟せてかつ生き残る可能性がある奴と言ったら…こん中じゃ俺だけだ」

大木の枝に立ち止まった。
影真似の術は元々足止めの為の術だと聞くがやはり一人では部が悪い。それに試合後でチャクラを消費したばかりだ。影真似出来てもいつまで捕まえてられるか…。

「今お前すっげぇ不細工な面してんぞ」

『元からだ』

どんな顔してたかなんて分からない。

『僕も一緒に、』

「ソラは大事な戦力になる。だから彼奴らと一緒にサスケを追え」

『分からないよ。僕実践経験乏しいし』

「ソラだけじゃない。此処にいる奴みんなそうだ」

『………』

分かってる。ただの言い訳。

『怖いんだ…』

手が震えてる。これじゃあクナイも持てやしない。
今ならハッキリと思い出せる。カカシ先生とガイ先生は砂の忍と殺し合いをしていた。血や瓦礫に塗れた会場で今も戦っているのだろう。自国を守る為に。

「俺もだよ。ダッセーよな…人のこと言えねぇ」

僕の震える手をシカマルは握った。彼の手は驚くほど冷たかった。僕が思ってる以上に怖かったんだ。今から一人で複数の敵に立ち向かわなくちゃいけないんだから。

『シカマル…』

「だけどここでやらなかったら絶対後悔する。…格好ぐらいつけさせろよ」

いつの間にか震えは止まっていた。シカマルの手も温かくなってきている。

『…死ぬなよ』

「縁起悪いこと言うなっての。まぁ!後で追いつくからよ…とっとと行け!!」

「頼んだぞ!!」

『…待ってるから!』

右手を上げもう振り向きはしない。
その背中が少しだけ逞しく見えた。

『……』

「彼奴は大丈夫だ。シカマルを信じろ」

『…そうだね』

信じろ、か…。
まだ姿が見えないサスケを連れ戻す為必死に走った。



「追跡者の動きが止まった!」

「やった!足止めが成功したんだってばよ!!」

『はぁ…』

安堵の溜め息を吐いた。本当に良かった。後はシカマルが無事なのを願うばかりだ。




0828
レインさん
こんにちは初めまして。主人公の謎というか過去がまだ纏まってないのでまだ出ないです(ノω;)構想が中途半端でorz我愛羅とはもっと絡ませたいんですが中々…ね←絡みにくい(;´д`)!扱いにくい…
応援ありがとうございます♪
みつるさん
初めましてこんにちは。更新遅けて申し訳ないです(;;゚ё゚;;)早くて月1、遅くて半年…遅いくて。主人公はもっと嫌な子にしようかと←
ありがとうございます、夏風邪ひいちゃいましたが携帯は弄れるので出来る限り更新します!
!(^^)!さん
マジですか嬉しいです目がうるうる(´;ω;`)ブワッ
二部までいくのにどれくらいかかるのやら…今年中に一部は終わらせたいっていうだけいって終わりそうですが完結まで頑張りまっす(`・ω・´)
羅璃須さん
あらやだ照れる(ノω`*)笑
そういってもらえて嬉しいです。励みになります。もっと面白くシリアスで物悲しく書けるように精進します!
カナヤさん
初めましてこんにちは。泣かないでっ(;;゚ё゚;;)あんな終わり方しといてあれですが21話は普通に始まりました 笑 主人公もそう言われて喜んで照れてますよ、無表情ですが心の中で(∵*)
めのさん
変なとこで終わらせて申し訳ないです(・ω・;)落ちは未定…きっと意外な人物になると思います。原作に忠実に書くのでシカマルは…なくなる…かな………あ、いやでも分かんないですよ!アンケート取るかもしれないですしそれぞれのルートを書くかも?うーん…大変そorz
みなさんレビューありがとうございます(^ω^*)
一ヶ月のうちにこんなにたくさんもらえたの初めてで嬉しいです♪



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