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愛は僕等を救わない
02

今日に限って寝坊した、最悪だ。混むだろうから予定では早めに起きて席を確保して置きたかったのに二度寝したらこの有り様だ。立って観戦は絶対嫌だ疲れる。まぁ…過ぎたことは仕方ないな。寝坊したと開会式に間に合わないと分かっていても走らない、だって疲れるし汗掻く。混んでいれば後ろの方から観るしかないがもうそれでいいように思う。視力は悪くないしそんなに観たい訳でもないし。…駄目だ、いのちゃんに誘われてたんだった、すっぽかしたら後が怖い。まだ棄権することを伝えてないから余計不味いな…。
会場に着き何処か空いてないかうろうろしていると声を掛けられた。

「ソラ!久しぶり、元気そうで良かった」

サクラだ。隣にはいのちゃんも居る。遅刻して怒鳴られるかと思ったけどそうでもなくて安心した。サクラは心なしか元気が無さそうに見えた。

「遅かったわね。あんた出ないで開会式終わっちゃったわよ」

『うん。らしいね』

寝坊したせいで一試合目始まってる。ナルト対ネジ。ナルトが圧されてる、力の差は歴然。このままいけばネジが勝つんだろうけどあっさり負けるのもつまらない。誰に教えられていたかは知らないが修行の成果を見てみたいもんだ。試合に目線を向けながら欠伸したら怒られた。欠伸で怒られるのはこれで何度目だろう。

「二試合目ソラなんだからシャキっとしなさいよ」

『ああ、そのことだけど棄権する』

火影様が事前に辞退するよう手続きをしておいてくれると言ってたような。だから僕は今此処にいる。

「はああああ!?」

「何言ってんの!」

ちょ、煩い。他の観客に迷惑だから静かにしてお願い、二人の顔も怖い…です。

『何って、棄権する…』

「そうじゃなくて!理由を言いなさいよ!」

『怪我完治してないしまだ痛いし』

「折角来たのに!」

『それは観戦する為で。腕なんて先日付けたばっかなんだよ?まだ使い勝手よくない』

右目には包帯巻かれたままだし視界悪いし狭い。そのせいでよくぶつかる。カカシ先生凄いなって思うよ、マスクもして暑苦しそうなのに全く感じないんだから。でもマスクの形に日焼けしそうで嫌だな。

「そんなの気合いで頑張りなさいよ!」

『ええええええ』

そんな無茶苦茶な。そこまでして出たくない。

「シカマル相手だからって遠慮してんじゃないの?」

『んな馬鹿な』

本音は…そうかもしれない。いやでも新しい義手に慣れてないというのもある。大きな理由はここに来てる観客皆が僕等、凡人には興味がないということだ。サスケと我愛羅の試合だけをわざわざ他の国からお偉い方が観に来た。この試合に勝てば中忍、なんて限らない。だからこんな試合別に捨てたっていいさ。下忍も立派な忍者だ、充分自立して生きていける。って大分話が逸れたな。キョロキョロしてたらヒナタを見つけた。次いでにキバも。ヒナタが笑顔で控え目に手を振ったので僕も振り返した。ヒナタはどっちを応援するんだろう。やっぱりナルトなのかな…。

「だからさっき火影様八名の通過者って言ったのね」

『もう一人いなかったっけ』

本選に出場するのは確か十人と聞いたが。僕の他に辞退した奴がいるのか。

「棄権したのよ」

音忍の奴、といのちゃんが教えてくれた。ならシカマルは誰と当たるんだろう。聞いたら本人に聞け、とのこと。こんなに広い観客席の中探すのめんどいと言えばいのちゃんに彼処にいる、と指を指されその方向に目をやれば確かに居た。だが、

「いいからさっさと行きなさい。あんたがずっと通路にいたら邪魔でしょう?あぁ、私の隣はチョウジが座るから空けてあるの。だから駄目」

『………』

早く行け、と心の声が聞こえてくる。そうだよな此処にいたら邪魔なんだよな…。
シカマルとシノがいる場所へ足を運んだ。








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