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愛は僕等を救わない
02


叫びが届いたのか応えるかのようにゆっくりだが腕を支えに地面に手を尽き起き上がろうとする。その下には血が滴り落ち血溜まりが出来ていて俯いていたのでよく見えなかったが顔半分側が先程の爆発のせいで赤く爛れていた。


立ち上がったものの吐血するソラを見てこれ以上は危険だと、本当に死んでしまうと柵に足を掛け駆け寄ろうとしたがカカシにより止められた。

「離せよ」

「嫌だね」

独自の口調というか単調な声も喋り方も全てが嫌いだ。振り払おうとした手は解けなく睨んだが効果なし。冷めた片眼が俺を見据えた。

「邪魔するのか。ソラの試合を」

「違う!アンタならとっくに知ってんだろ。彼奴の体は弱い。もう五日も薬を飲んでないんだ、いつ倒れたって…」

「ソラが自分で試合に出たいと言ったんだ。危険だと判断したら俺が止める」

「だから俺は!」

「落ち着けシカマル」

アスマにも言われ苛立ちを隠せず舌打ちした。俺が止めたとこで引き下がるソラじゃない。俺が一番よく分かっていたからこそ引き下がった。チョウジやナルトは心配そうにしているがそれだけ。
出来ることなら今すぐ駆け寄りたい。簡単なことなのにそれが出来ない自分が嫌いだ。行き場のない感情を抑えきれず唇を噛み拳を強く震えるほどに握り締めた。

早く勝敗を付けようと思ったのかソラは脚にチャクラを込め思いっきり蹴飛ばした。カブトは壁に減り込むほどそれを全身で受けたが意識はありずれた眼鏡をかけ直し立ち上がる。そう簡単に決着はつきそうにない。この数秒の間に棄権してくれと何度思ったことか。ヒタナは目を伏せいのやサクラやナルトは息を飲むばかり。


突然目付きが変わった。いつもの気怠そうな目ではなく殺気立った今までに見たことのない瞳。純粋に怖いと思った。彼奴が彼奴じゃなくなるような、何とも言い難い奇妙な感覚。眼の色は紫に染まっていた。
カカシが目を細め訝しげな顔をして試合を見守る。ナルトは疑問をそのまま口にした。

「あの眼なんだ?」

「瞳術でしょうか」

「写輪眼や白眼とはまた違う感じするけど…」

「それに写輪眼と白眼は遺伝され受け継がれる。血筋が違うソラに扱える訳がない」

ネジの言う通りだ。但しカカシは例外。

「だったらあれなんだってば」

「一概には言えないが瞳術と違う他のものとしか…。否、一つだけ遺伝されない天性により授けられるモノがある。だがあんな奴が…」

「なんだなんだ?」


「輪廻眼」

その声はネジからではなくカカシの口から出た。

「輪廻眼?なんだそれ」

ナルトが首を傾げた時、ただならぬ殺気を感じた。それは紛れもないソラからのもので。虚ろな目は何も写さず目の前の相手にだけ殺気を放つソラに畏怖した。

『火遁、火龍炎弾』

印を結び術を呟くが聞き取れず小さな口の動きだけ見えた。口元から出た火が龍の如く相手を襲う。意志があるかのようにソレはカブトを追い掛けついには避けれず直撃した。


俺が無理矢理にでもソラを棄権させれば、こんなことにはならなかったのだろうか…。








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