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愛は僕等を救わない
01 シカマルside

「なにやってんの!今のは避けられたでしょー!!」

「もう試合始まってんのよ!」

いのとサクラが其々声を張り上げた。それに反応し僅かに肩が跳ね上がった。サクラは兎も角いのはアイツのこととなると煩い。心なしかソラが鬱陶しい表情をしてるように見える。

「なんだなんだぁ。ソラの奴手裏剣見えてなかったのか?」

「いや、それはない」

すかさずカカシ先生が口を挟む。断言できる何か根拠があるのだろうか。

「どうして?」

「目は追いついていた。恐らく考えがあって…」

「あの子のことだもの。考えなんて無いわよ」

「サクラはソラに手厳しいな」

苦笑を漏らす。確かに風当たりが強い気もする。あんな性格だから好かれることはないだろうが嫌われる理由もない筈だ。まぁそこは女特有の何かがあるんだろうが。

「そんなことないわ」

目を伏せ試合から視線を外した。
それとは代わりジーッと見つめるネジにリーが名前を呼ぶが無反応。

「ネジ?」

「……(クナイが飛んだ時彼女は怯むことなく瞬きすらしなかった。「鈍いから」などと片付きそうだがな)」

「変ですね…(ネジが呼んでも気付かないなんて…。それほどまでにこの試合に見入ってるのでしょうか…)」

「何か言ったか?」

「いえ、なんでもないですよ」


ソラの目付きが変わった。いつもの気怠い目から見たことないような真剣な眼差しに。

だが試合は平行線を辿り互いの武器をぶつけ合い一定の距離を保ったまま。互角とは違いカブトが相手に合わせたまま試合をしわざと時間を長引かせてるような感じもする。
長く続くんだろうな…と思ったがそれは案外あっさり終わった。痺れを切らしたのかソラが一瞬で相手の背後へ周り込み印を組み口元から炎を吹いた。

「あれって確かサスケの…」

「すげぇ」と一言ナルトが漏らした。いつの間に火遁の術を使えるようになったんだ、しかもあれは中忍レベル。今の俺らでは数日やそこらで到底取得出来る術じゃない。以前からソラは五大性質をある程度使えていたしきっと誰よりも忍術の素質はあった。ただ、自身が真面目に取り組まないせいか(俺も不真面目なのは認める)あまり開花することもなかったが。
身近で他にあの術を使えるのはカカシとサスケくらい…カカシに教えを請うわけないよな。素直に教えてくれそうにもない。とするとサスケに教えてもらった、と考えるのが妥当か。ふと前言っていた言葉を思い出した。『彼奴が嫌い』だと。班が一緒でそんなこと言ってられないのは分かってるが…なんとも表現しづらいモヤモヤした蟠りが胸に広がる。
俺が考えていた間にも試合は進み贔屓目に見てだが優勢に思えたソラが焦った様子で肩に深く刺さったクナイを取ろうと必死になっていた。

あー…ヤバそうだな…。

視線を逸らすことなく凝視した。否、目を離せず逸らすことが出来なかったんだ。
起爆札の大きな爆発音と共に煙りが立ち込めソラの周りや辺りを覆う。

爆風が消え現れたのは腕を失ったソラの姿。右肩からは夥しい大量の血が流れていた。その血の海の中で荒く息をしながら俯せで倒れていた。
見ていられなかった。このまま死んでしまうのではないかと思うといても立ってもいられなくナルトに肩を揺さぶられ名前を呼ばれるまで気づかなかった。

「おいシカマル、腕が!」

「…義手だよ」

「知ってたのか?」

「ああ」

そんなの前から知ってた。持病があることだって知ってたのに。

「戦闘不能で…」

「待てよ!」

起き上がる様子のないのを確認し審判が終了の声を遮ったのはナルトだった。

「ソラはもう…」

「まだだ。まだやれる!立てよソラ!!」

サクラの言葉も聞かず大声で叫んだ。こうも真っ直ぐだと羨ましく思う。







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