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愛は僕等を救わない
07
どうして火影様がいるんだろう。こんなとこに来ていいのか…ただのお見舞いではなさそうだ。一体僕に何の用だろう、率直に聞けたら良いが言いにくい。そして思い当たることが一つだけある。目を合わせる気は毛頭なくベッドから上半身を起こし窓から見える空に目を向ける。花瓶に添えられていた花達は既に枯れ捨てた。
入院して二十日目の昼。

「体調はどうじゃ」

『良いです』

嘘、良くも悪くもない。どちらかと言えば悪い方。

「それは良かった」

良くない。生きてることに何も良いことなんてない。

「果物は好きかのう」

『はい』

依然として空を見つめたまま頷く。この流れは果物くれるヤツだなと思ったらバスケットに沢山入ったフルーツを貰った(窓ガラスに写ったのを見た)。いつもなら嬉しいのに今は全然嬉しくない。前置きは止めて早く聞きたいこと聞いて出ていけばいいのに。
余程態度に出ていたのかただ単に偶然か「さて、」と本題を切り出した。

「試合の記憶がないと聞いたが本当か?」

『はい』

カカシ先生かな。余計なことを…。

「いつから記憶がないのか詳しく教えてくれんかのう」

断る理由もない。あの試合のことずっと考えてた。

『腕がぶっ飛んだ辺りから。気づいたらカカシ先生に拘束されてました』

どうやって勝ったのかすら覚えてない。

「前もそのようなことはあったのか?」

『いえ…』

火影様は考えるようにして黙った。

「何も聞かないのか?」

『聞いたら教えてくれるんですか』

僕の求める答えを。

「ソラが求める答えとやらは分からんが出来る限り答えよう」

『皆僕に隠してる。予選で余程のことがあったんだと思ってます。それに…』

少しの間口を噤んだ。


『片目が潰れてた』

「…見たのか」

入院したばかりの頃どうなっているのか興味本意で見たんだ。そしたら予想以上に異様で奇怪で気持ち悪くとても体の一部、自分の目だと思えなかった。

「自分で刺したんじゃ」

僕が自分で?信じられない。痛覚だって普通に感じるのにそんなこと。

「心配せずとも目は治る。傷痕も残らないくらいにな」

貴方が言うのなら本当なんだろう。それがいつか分からないがそう掛からない筈。

『試合で記憶がない間何があったんですか』

聞きたくても知るのが怖くて聞けなかった。だが無知なままの方がもっと嫌だ。

「なんと説明すればいいのか…」

まるで人が変わったようだったという。僕が扱える筈のない高等忍術を使い熟し周りを圧巻したらしい。
本当にそれだけだろうか。ヒナタのあの怯えた様子を見ると…。


「本選は出るのか?」

『…分かりません』

多分出ないだろうな。ろくに体動かしてないし鈍ってる。満足に動けないそんな状態で出たら恥をかくのは目に見えてる。

「ソラには悪いが今回の本選は出ないでほしいのじゃ」

『棄権しろということですか』

まさか火影様がそんなこと言うとは思ってなかったので吃驚した。

「ソラ、お前は不思議な力を持っている。周りの者はまだ極一部しか気づいてないが各里の大名がそれを見れば皆が利用し欲しがるだろう…どういうことだか分かるな?」

『……』

分からない。僕が、どうしてそんな、分かりたくない。

『不思議な力って…?』

「三大瞳術の中で最も最強にして祟高の輪廻眼じゃ」

伝説上のモノだと思ってた。そんなもの僕が使える筈ない。

「気に病むことない」

触れた瞬間断片的に死の映像が頭の中へ流れ込んできた。不謹慎だが火影様が死ぬ嫌な場面だった。驚いて手を払い退けてしまった。以前にもこんなことがあったな…。

『ごっ…ごめんなさい』

咄嗟に謝り目を見るが顔を伏せた。

「何故目を見ない?」

『…気のせいじゃないですか』

「そうじゃな…」

それ以上追求してこなかった。

「そろそろ失礼するかのう」

『…気を付けて下さい』

「分かっておる。大丈夫じゃよ」

笑顔で言うが本当に分かっているのだろうか。嫌な予感しかしない。
火影様には住居を提供してくれたことに関して感謝はしている。だがそれだけであとは何もない。極端な話、別に明日死のうが一時間後に死のうが僕には関係ない。

だが先程見た映像が忘れられなくて、バタンと閉まった扉をずっと見据えた。



「大丈夫」なんて子供でも吐ける一番簡単な嘘。




0401はじめまして!みらいさんレビューありがとうございます♪気に入ってもらえて嬉しいです(っд;*)
今より更新出来るよう頑張ります!
今回は少し過去が…にしてもシカマル出てませんね(;
次こそ出すつもり!



あきゅろす。
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