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愛は僕等を救わない
01




月が綺麗な夜――

嗚呼、まただ。
また僕は此処にいる。月の明りが辺りを照らす。そこに見えるのは血に塗れズタズタに斬り裂かれた数多の屍。僕の足下にも屍体が転がっていた。服装からして間違なく忍びの者だった。

『一体誰がこんな酷い事…』

「酷い?貴方が、殺したのでしょう」

ポツリと呟いた独り言に少女の幼い声が返ってきた。
先程までは誰もいなかったのに…目の前に立っているのは見覚えのある女の子。

『僕…が…?』

「そう」

少女は当たり前だと言うかの様に卑しく笑った。
ふと見ると僕の手には鮮血に汚れた刀が握られている。

『本当だ』

否定するわけでもなく案外あっさりと受け入れられた。

「次はその手で――」









『あー…』

なんだ、夢か。
いや良かった夢で。

夢見は最悪だったがパチッと目が醒めた。朝からなんという夢をみてんだ僕は。現実味のあって気持ち悪い。最近頻繁にみる悪夢。
夢の中での出来事だった筈なのに手には人の血肉を刺した感触が鮮明に残っている。額にはジワリと汗が吹き出ていた。
汗でベタベタだ、気持ち悪い…シャワー浴びようかな。
ふと時計を見るとまだ朝方の四時だった。

『(なんだ、もう一回寝れるじゃん…あれ?)』

おかしい。
時計の針は四時を指しているが外はやけに明るいのだ。

目を擦りながらベッドから降り、居間にあるもう一つの時計を見るとなんと針は八時を迎えようとしていた。

『あらー…』

このままだと間違なく遅刻。なのになんて自分は冷静なんだろう。恐らく冷静というよりは呑気なのだろう。遅刻してもいいやと思う自分がいるが今日は下忍に成りたての為の説明会、遅刻するわけにはいかない。
急いで顔を洗い着替えて家を出た。朝ご飯なんて食べてる時間は無い。息を切らし走りながらでもお腹空くだろうな…チョウジにお菓子貰おうか。でも朝からポテチって胃が凭れそう…なんて考えてたら前を歩くサスケ君を見つけた。青の服に家紋のうちわ…サスケ君の筈。

良かった!来る途中全く同期の人見かけなかったから少し安堵した。特に急いだ様子も見せず歩いている。
折角なので話しかけようか…でも怖い…でも…。遅刻して一人で教室に入るより優等生のサスケ君と入った方が心強いというか、それに同じ下忍なんだし仲良く…は無理だろうな。サスケ君は僕が見る限りいつも一人だ。他の人とは自ら距離を置いてる感じがあって中々勇気が無いというか…あー…。取り敢えず挨拶してみるか。

『おはよー』

「………」

声小さかった?そんなわけない。これはシカトだ。でもめげない!もう一回だ。

『あのさ良かったら一緒に行かない?』

「誰がお前と行くか。俺に話しかけるな」

邪魔だ、と言わんばかりにギッと睨まれた。なんて冷たい目なんだろう、一瞬声が出なかった。

『…先行くからまたね』

遅刻しないようにね、と言い残しまた走り出した。

「………」




折角勇気出して話しかけた結果が「話しかけるな」か…ショックだな…。そりゃあ格好いいし物凄く頭も良い。欠点が無く僕には遠い存在。それに女の子にやたら人気がある。クラスの女の子は全員(僕とヒナタ以外)彼の事好きなんだろう。見てれば直ぐ分かる。当の本人は嫌そうだが。
扉の向こうから教室の様子を伺うと話し声や笑い声が聞こえた。て事はまだイルカ先生は来てない。やった、遅刻しないですんだ。
息を整え、シカマルの隣りに着く。

『隣り座るよ』

「ああ。今日はギリギリだったな」

『寝坊したの。…チョウジお菓子ちょうだい』

「いいよ」

『ありがとうモグモグ』

「朝飯食ってねーのかよ」

『寝坊したって言ったじゃん。あー聞いてよ!』

「あ?なんだ」

『ここ来る途中サスケ君に会って話しかけたんだけど「話しかけるな」って言われて…結構傷ついた…』

「あー」

『興味無いか…。僕苦手だな、サスケ君』

「…俺も」

意外。シカマルに苦手な人がいるなんて。まぁあんだけツンツンしてるんだ、絡み難い。
チョウジのポテチからまた貰おうと手を伸ばした時だった。教室の扉が開いた。


「キャーサスケ君!」
「カッコいいー!」
噂をすればなんとやら…本人来た途端にこれだ。女の子の黄色い声。朝から良く出るな。サスケ君困った顔してる。ははっいいざまだもっと困ればいいのに。瞬間、サスケ君と目が遭った、気がする。…嘘ですごめんなさい。

『額当て…腕に付けてんだ』

「まぁな。どーしても額に付ける気になんねぇんだ。ソラも額に付けねぇんだな」

『うん僕もシカマルと同じ。取り敢えず首に付けてる。チョウジは頭に付けてるけど…どうなってるんだ?』

なんだか不思議な髪型に…。

「秘密」

『余計気になる…。あれ、ナルトいる』

「今頃気付いたのか…合格したんだと」

『へー…え!?』

「一昨日あった事件の犯人を捕まえたらしいよ」

『凄いなぁ。でもその前に事件なんてあったけ』

全然知らなかった。その犯人とはミズキ先生というし…良い人だと思ってたのに…。でも中忍の大人を捕まえるなんてナルトの奴やればできるんじゃないか。
尊敬しました。








あきゅろす。
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