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愛は僕等を救わない
01





砂ばかり。周りには砂しかない。時折砂嵐が吹き荒れる。砂が入らない様にと自然に目を細めた。

四〜五歳辺りだろうか、幼い赤髪の男の子が僕に向かって微笑んでいた。
…僕?いや、違う。僕に似てるけどあれは僕じゃない。僕より幼く色は同じだが髪は長いし何よりその子も笑顔だった。僕があんなに笑う筈がない。
第三者の観点としてその光景を目視した。

二人の顔は影が掛かっていてよく見えない。だが楽しそうにしてるのは分かる。なんだか幸せそう…いつまでもこの刻が続けばいいのに……。気づけば自分の事のように思いを寄せていた。

離れた所でもう一人の赤髪の少年が此方を見ていた。髪色は同じなのに全て違う。何故だろう?その眼差しはとても悲しそうで僕がなんとかしなきゃ、なんて馬鹿らしいことを思った。何も出来やしないのに…。
駆け寄り手を伸ばすが掴む前にその少年は消えた。僕が見ていたのは幻影だったのかというように。無性に悲しくなった。
消える前に一瞬笑って見えたのは気のせいだろうか。


振り返りあの二人はどうなったのかと見れば先程とは打って変わって赤髪の男の子が泣いていた。大きな瞳に大粒の涙を浮かべボロボロとそれは子供らしく。もう一人の子はというと、ある筈の腕が無く血塗れの肩を押さえ笑っていた。「大丈夫だよ」と。それに赤髪の男の子は「ごめんなさい」と涙を流しながら謝り続けた。それを諭す様に何度も何度も言葉を掛け微笑んでいた。まるで痛くないよ、と痛みを感じさせる素振りも見せず。

君は悪くない―――


君を困らせるものや悪いのは全部僕が背負うから。
僕が僕の全てを失ったって…。

だから泣かないで、
手足の一本や二本どうって事ない。



あれは……僕?
男の子の思考が、意思が僕の頭の中に入ってくる。

あんなの知らない、分からない!
赤髪の男の子だって僕より幾つか大きい少年だって見覚えはない。
なのになんで…こんな気持ちになるなんて。

懐かしい…―――

これは夢だろ?
ならお願いだ、早く覚めて!


二人の子供と少年の光景が脳裡に焼き付いて離れなかった。



もう失ってしまったから過去が懐かしく、幸せに憧れながらも手を伸ばせない夢を抱く。そんな微睡みの永遠を信じてた。


(夢に見るんだ、儚い記憶を。分かっているんだ、失った過去ぐらい。ただこの手に掴めないものは大きく、それを自分が諦めきれないだけなんだ)




0325
ゆうさん青碕さんレビューありがとうございます♪レビューってこんなに嬉しいとは…!マジ泣き5秒前←
おかげで更新意欲が湧いてきました(`・ω・´)
今回短くて申し訳ないです…次は我愛羅との絡みを書けたらなと、あと省いた主人公の戦いも別目線で書こうと思います!
気長に待っていて下さいね(ノω`*)


あきゅろす。
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