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愛は僕等を救わない
06



階段を上がってると向こうからズボンのポケットに両手を突っ込んだシカマルが下りてきた。転んだら受け身取れないだろうに床に顔面直撃だ。そんな間抜けなことにシカマルはならないだろうけどね。そーいうのはナルトの役目というか…。
目が合い、意識せずとも僕から口を開いた。

『どうしたのトイレなら』

「ちげーよ」

ならなんで下りてきてんだ、と頭にハテナマークを浮かべてると電光掲示板へ目を向けたので僕も釣られて見るとシカマルの名前があった。もう出るのか。

『相手女だね』

「やりづれーし最悪だ」

『そんな理由で負けたら笑ってやる』

「笑った顔見れんならそれも悪くないかもな」

『………』

急すぎて聞き流してしまった。

『ごめん、今何て言った?』

「いや、なんでもない」

まさかな、シカマルが言うわけない。聞き間違いだったのかも。でもそう言われると気になるんだってば。ポツンと立ち止まったままの僕を置いて対戦相手の元へ歩いていった。その後ろ姿をただただ見つめていたが意味が分からない。砂の人といいシカマルといいなんなんだ。






「さっきのソラカッコよかったってばよ」

『そりゃどーも』

痺れた腕をプラプラ揺らすがこれに効果があるのかは分からない。

「先程はすみません…腕大丈夫ですか?」

『平気平気』

心配そうに僕の腕を見つめて尋ねる彼を見てると腕が痺れて痛いなんて言えない。あの時リーは違和感を覚えた筈だ、問われる前に関わらないようにしよう。

「ソラさん!」

そう思った矢先に腕を掴まれた。それも強く。

「やっぱり腕…あ、すみません突然」

『…放して』

今ので間違いなく確信した。触れただけで誰だって義手だと分かる。包帯の下は冷たくて固いんだから。あまり知られたくなかった…なんだか居づらくてチョウジのとこへ行った。


『次シカマルか…』

「ああ」

一人言のつもりだったのに応えたのは図体の大きいアスマ先生だった。

「シカマル負けんじゃないわよー!!」

いのちゃんが声を張り上げ応援する。元気いいな。

「ソラも応援しなきゃ」

『さっき擦れ違った時言った』

「さっきはさっき今は今でしょ」

近所のおばさんみたいなこと言うなぁ、それ言われたらなんて言い返せばいいのか…。

『頑張れー』

「もっと大きな声で言いなさい!」

『言ったじゃん』

「全然ちっさいわよ!!」

「そうだよそんなんじゃ聞こえないよ」

チョウジまで…。目を覚ましたと思えばなんで数分の間にこんな元気になって…いや、いいことだけどさ。

『第一、僕じゃなくてもいいじゃん』

「ソラじゃなきゃダメなのよ」

『なんで』

「はぁ…」

え、なんで溜め息吐かれたの。ますます意味が分からない。仕方ない、これはもう応援するしかないか。

『シカマルー!』

あ、こっち向いた。目が合う。

『頑張れよー!』

顔を逸らされた。何コレ、ムカつく。


この試合はあっさり勝敗がついた。キンはシカマルの影真似に乗っ取られ壁に頭をぶつけ気絶し、なんというか…アホな負け方だった。

でも取り敢えず、

『良かった…』





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あきゅろす。
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