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愛は僕等を救わない
05

本当にあっという間だった。
相手はテンテンから無数に繰り出される武器攻撃を完封したのだ。それにより早くに勝敗がついた。誰が見ても圧倒的に砂の者が勝っていた。こうも力の差を見せつけられると気力が無くなる。

「勝者テマリ!」

審判が声を上げた。それを聞きニヤリと口元を歪める。嫌な予感がした。
テマリはあろうことか先程の対戦で動けないテンテンを投げ飛ばしたのだ。が、リーが素早く動き出し抱えた。さすが。感心していると相手に怒鳴った。

「何をするんです!それが死力を尽くして戦った相手にする事ですか!!」

「うるせーな…とっととそのペッポコ連れて退がれよ!」

拙い―

そう思った瞬間には飛び出していた。

(木の葉旋風…!)

僕何やってんだろ…無意識に前に飛び出し気づけば右腕で受け止めている。

『……っ』

全身にビリビリと響く。幾ら義手だとしても体術を得意とするリーの蹴りは痛かった。腕が痺れる。本気で蹴りやがったな…。今ので違和感があったに違いない、義手だってバレたかな。隠すつもりはないから別にいいけど。

「…退いて下さい」

『嫌だ』

「ソラさん、僕は…っ」

『暴力はいけないです、仮にも女の子…』

あ仮にもとか余計な事言ってしまった。

『許せないのは分かりますが一端身を引いて下さい。今は試験中ですよ。私情を持ち込むのは良くない』

「ですがっ!」

「やめろリー!」

「ガイ先生…!」

おっ良い場面に来た。
渋々リーは足を下げ引き下がった。

『貴女も貴女だ。動けない相手を投げ飛ばすなんて』

「私に説教か、いい度胸だな」

『そんなつもりはない。ただ道徳心を疑う』


鼻で笑い僕を見据え口を開いた。

「何故邪魔をした」

やっぱ邪魔だったか…でしゃばりはよくないな。何故と言われても…特に理由はない。

『理由なんてないよ』

「…なんだと」

『理由無いと助けちゃいけない?いいじゃないか、それに身体が勝手に動いただけ』

これは本当、自分でもよく分かんないから言いようがない。

「…おかしな奴だ」

『よく言われる』

馬鹿とか変な奴って。否定出来ないから苦笑いするしかない。まぁ…褒め言葉として受けとろう。

「ソラと言ったな、」

『うん』

「…覚えてないのか?」

『何を?』

「いや、なんでもない」

そう言われると余計気になる。以前彼女に会ったことがある?そんな筈はない。初めて会ったのは今回の中忍試験が始まる時だった。

「テマリ…早く上がれ。勝ち名乗りは受けたんだ…いつまでもそんな見苦しい保護者同伴の男の相手をするな」

見苦しいのとは眉毛二人の事か、言うなアイツ。その言葉に苛っとしたのかガイ先生が口を開けた。


「砂の諸君…。一言忠告しておきたいんだがいいかな…」

何を言うんだろう。お願いだから変なことは言わないでほしい。ガイ先生だっていい大人だ、大人の対応をするべき。

「この子は強いよ」


自信満々に言い切った。
あの野郎…!僕が折角庇ったというのに何言ってやがる。砂の奴等に喧嘩売るなんて。大人のすることじゃない、挑発してどうする。ああ…もう怒る気力も無い。
我愛羅だったか、そいつと目が合ってしまった。相手が上にいる為僕を見下ろしている。なんだろ、見下されてるみたいで嫌だな…でもどうしよう、どちらかが先に逸らしたら負け的な。だから簡単に逸らせなかった。

「ソラ!何やってるのよ早く戻ってきなさい!」

サクラの声だ、助かった。『今行く』と生返事をした。


約半数の試合が終わり自分の出番はまだかと内心少し不安にかられた。








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