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愛は僕等を救わない
03





「やっと捕まえたわ」

自分の髪にチャクラを流し込み縄になった髪が足に絡みつきサクラは動けずにいた。今までの、怒ってたのは芝居だったと。改めて女の子って怖いと思った。僕にはとてもじゃないが真似出来そうにない。

「これでアンタの体に入ってギブアップって言えばおしまい!」

サクラの口から言わせるってそーいうことだったのか。ならもう殴り合いはしなくて済むし簡単に終わる。あとはサクラの抵抗力次第…ってとこかな。
いのちゃんはサクラへ向け印を組んだ。



「残念だったわね…サクラ!」

サクラの口から出たのはいのちゃんの台詞。勝負あったな。






『…どーいうこと』

先程まではいのちゃんの勝利が確定したと思っていた。だが今はサクラの体に入っていたいのちゃんが自分の体に戻り形勢が変わらない。

「いののチャクラ不足…それもあるがそれ以上に効いたのは」

サクラの心の内にあるいのという宿敵への闘争心…解説役と化したカカシ先生がきちんと教えてくれた。
見た感じ二人は息を切らしもうチャクラは残ってない。次で勝敗が決まる。
拳を作り勢いよく駆け出すと二人の頬に当たった。同時に吹き飛び倒れたまま起き上がる様子はない。

「両者続行不可能…予選第四回戦通過者なし!」

引き分けか。予想外の結果だった。サクラに期待してなかったわけじゃないが拍子抜け。
カカシ先生と誰だっけ…あの髭…シカマルの班の上忍………思い出した、アスマ先生がそれぞれサクラといのちゃんを抱え僕達のいる所へ運んだ。アスマ先生が「30分もすれば目を覚ますだろ」と言い治療班も呼ばなかったが擦り傷が多く少し気になる。大丈夫かなと。擦った傷は後から地味に痛いんだ。

「しかし驚いたな…」

「ナルトとサスケとソラはともかく…あの頼りなかったサクラまでが…こんなに成長してるとはな」

ともかくって…僕も成長してる?
三人に置いてきぼりにされてる気がする。力をつけグングン成長していってるのに僕はスタートラインに立ったままで歩き出せてもいない。自分の非力に腹が立つ。いつまでもこのままじゃいられないってことは分かってるけど…今の現状に甘えてる自分がいるのも事実。進歩ないなぁ…。
あとナルトと僕の試合が残ってる。無様な試合だけは見せられない。

「なーに顰めっ面してんの」

頭が重くなったと思えばカカシ先生の手が乗ってわしゃわしゃと撫でられた。あー…髪がぐちゃぐちゃに。

『…してない、です』

「心配するな。ソラも伸びてる」

見透かした様に欲しかった言葉を言う。読心術でも使ってるんじゃないだろうか。…僕が顔に出てただけなんだろうけどなんだか凄く嫌悪感に苛まれた。

「この中忍試験に出して良かったと…心から思ってるよ」

本当に?大人は平気で嘘を吐き思ってもないことを平然と何食わぬ顔で言う。忍としてなら当たり前だがそれが僕には怖い。

僕もその一人だとしても怖くて堪らない。
いつになったらこの言い様のない恐怖から抜け出せるのだろう。








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