愛は僕等を救わない
01
有り得ない有り得ない有り得ない!
何がかって?そりゃこのまま次の試験に移るからさ。詳しくは第三試験の予選ね。人数が多いからここで削るって知るか!少しなら別に多くてもいいじゃないか…休みもくれないんだぞ、いい加減僕は休みたい寝たいせめて座りたい!だからって棄権はしない。人数丁度いいみたいだしここで棄権したら今までの苦労が水の泡だ。
あ、なんでこうなったのか説明まだだったね。第二試験を通過したのは7チームの22名。確か前は79人だった筈だが…まぁ置いといて。あの後すぐに講堂へ召集された。通過者は既に何人かいて、どうやら僕らの班が最後だったみたい。そこにシカマルがいて驚いた。当然の如くいのちゃんやチョウジもいるわけで、僕の知ってる人は結構残っていた。ヒナタもいる。そのお兄さんとか。会いたくなかった音忍の奴等まで。どんな手を使ったんだか…。あと、一人だけ無傷な人もいた。ヤケに綺麗で哀愁漂う我愛羅。自然と目が彼を追ってる。
暫くして火影より第三の試験の説明…の前に告げたいことがあるとこの試験の真の目的を話す。
「何故…同盟国同士が試験を合同で行うのか。同盟国同士の友好、忍のレベルを高めあう、その本当の意味をはき違えてもらっては困る。…この試験は言わば同盟国間の戦争の縮図なのだ」
縮図?意味が分からない。難しい話は眠くなる。
かつて勢力を競い合い争い続けた隣国同士、その国々が互いに無駄な戦力の潰し合いを避ける為に敢えて選んだ戦いの場、それが中忍選抜試験の始まりというのは聞いたことがある。
「中忍に値する忍を選抜する為のものである事に否定の余地はない。…だがその一方で国の威信を背負った各国の忍が命懸けで戦う場であるという側面も合わせ持つ」
威信とは忍に仕事を依頼すべき諸国や大名のことを指すという。
そして何より各国の隠れ里を持つ大名や忍頭が僕達の戦いを見ることになる。
国力の差が歴然となれば強国には仕事の以来が殺到する。弱小国と見なされればその逆。それと同時に隣接各国に対し我が里はこれだけの戦力を育て有しているという脅威。つまり外交的…政治的圧力をかけることもできる。
そこんとこは子供の僕らにはまだ関係ないと思うが。
「国の力は里の力…里の力は忍の力…忍の本当の力とは命懸けの戦いの中でしか生まれてこぬ!」
ヤバイ頭がぼーっとしてきた眠い。きっと今の僕の目は半開きだ。こんな顔絶対ヒナタに見せられない。振り向くことはないだろうから大丈夫かな。
「第三の試験の前に諸君にもう一度告ぐ。これはただのテストではない」
火影様の声が自棄に遠くに聞こえる。最早何を言ってるか理解出来ない。
「…寝るなよ」
『う…ん…』
相当眠そうにしてたのか隣のサングラスの子に声を掛けられた。確か…………………シノって言ったっけ、ヒナタと同じ班の人。
『………』
「…おい」
『………』
「………」
『痛っ!』
「なんじゃソラ」
声を上げた為数人が僕の方を向いた。恥ずかしい…!
『なっ…なんでもない、です…』
「そうか。それでは話を続けるぞ」
ちゃんと聞くんじゃぞ、なんて余計な一言を足された。眠かったのバレてた?そんなこと…ないよな。
取り敢えず隣の男を睨み付けた。
「…起こしてやったんだから感謝してもらいたいくらいだ」
『確かに目は覚めたけどもっと違う優しい方法があったと思うな』
「その優しい方法で起きるなら誰だって苦労はしない」
どういう意味だ!と反論しようとしたが止めた。僕が負けるに決まってる。
にしたって突然足踏むなんて酷い。しかもシノは何事も無かったかの様に平然としてるし。俺は関係ない的な。僕だけ声出して恥をかいた。ヒナタは心配そうな目で見てたしサクラとサスケなんて…馬鹿だコイツとか思ってそう。あとシカマルも。最悪だ…。
今分かったこと、シノと僕は馬が合わないようだ。よくやってけるな…ヒナタとキバ。
「これは己の夢と里の威信を掛けた命懸けの戦いなのじゃ」
そうなんだへー。長いよ本当。早く終われ。夢なんて僕にはないんだからそんな話されても困る。
「恐れながら火影様…ここからは審判を仰せつかったこの月光ハヤテから…」
僕らの前に現れたのは凄く顔色が悪い人だった。隈がかなり濃く出来てる。体調優れてないんじゃ…咳もしてるし今にも倒れそう。
「皆さんには第三の試験の前にやってもらいたいことがあるんですね……」
また前に、か。飽きた。
「それは本選の出場を掛けた第三の試験予選です…」
というわけで冒頭に至る。
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