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愛は僕等を救わない
03




「本気かい?」

有らぬ事を口走った彼にカブトさんは余裕な表情を浮かべた。

「悪いがもう俺達には時間がねぇからな…!」

『…思ってもない事は言うもんじゃない』

「俺は本気だ!さっきも言ったろ!もうこの森で生き残るにはこれしかねぇんだよ」

だがその瞳には決意が足りない。見れば分かる。所詮口だけ。

「嘘だね。君は自分で言ってる程心を徹しきれていないな」

図星らしくサスケは苦虫を噛み潰した様な表情をした。

「もし君が本当にこの試験にシビアになりきれるのなら…何故僕に勝負を挑む必要がある。わざわざそんな宣言をせずに僕が油断している隙に襲えばいいのさ…それが忍者だ」

カブトさんの言う通りだった。

「僕はそんな君が嫌いじゃないよ。だから教えよう、君達の進むべき道を」

焚き火の煙りに焼き魚の臭いが遠距離まで届いていてこのままじゃ猛獣や敵にマークされるからとこの場を離れた。


んで今木々を飛び移り移動しながら話してると。
なんでもカブトさんによるとラスト一日で最も巻物を集めやすいのは塔の付近らしい。天と地の書両方を入手し塔を目指すチームを狙う訳だ。だがそう考えてるのは僕達だけじゃない。付近には同じ穴のムジナが既に罠を張ってる可能性が高い。
警戒心を解かず気を付けなければ。


「漸く塔が見えてきた」

確かに見えたけど遠い。数時間は歩かなきゃならないのか…。

「よっしゃあああ!!行くぜェエエ!!」

「早速敵…!?」

「そこだ!!」

ナルトが放ったクナイはムカデに突き刺さった。そのムカデは尋常じゃない大きさをしている。かなり気持ち悪い。取り敢えず敵じゃなくて良かった。安堵の溜め息を吐いた。

「密林を象の様な音を立てて突き進めば自分達がやって来る事を大声で警告しているのと同じ…。必ず熱烈な歓迎を受ける事になる。これからは時間の許す限り…身を隠しながらゆっくり行くよ」

それぞれ頷いた。
ジッと見つめていると視線に気づいたのか目が遇い、微笑まれた。こんな時どんな顔をすればいいのか分からず顔を逸らした。それに対してまた笑われた気がしたがもう見ない。さっきので馬鹿にされたから。



「もうダメ…」

先程から後ろを歩き遅れを取っていたサクラの足が終に止まった。他の皆の息も荒い。僕も正直疲れた。慣れない獣道は道を遮る物が多くあり足場も木の根っこや石で歩きにくいからだ。足が錘を付けたみたいに重くて動かすのが億劫だ。

「一体どれくらい歩いたかな…ちっとも近くなんないんだけど…」

『結構歩いたよね』

塔と僕達の距離が一向に縮まらない。


「どうやら僕達は既に熱烈な歓迎の中にいるらしい…ホラ…あそこを見てみろ」

指差す方を見れば前ナルトが指したムカデがあのままの状態でいた。

「ど…どういう事だってばよ!?」

「幻術か……」

「そうみたいだな…完璧にハマってしまったよ」

同じ所をグルグル歩いてたという事か…。うわ、体力と時間の無駄遣い。

「監視されてるな」

『マジで』

「恐らくこのまま体力を削らせて疲れきった時に不意を突くつもりだろう」

「だったらもう敵の作戦通りだろ…」

「じゃあそろそろ来るかな…」

嫌な事言わないでほしい。疲れてんのに。


…って本当に現れた。なんか…黒に身を包んだ人が数十人いる。分身か。早く終わらせたい。






「あった!あった!ホラ天の書だってばよ!!」

『これで二つ揃ったね』

なんとか勝負は決まり気絶している相手の懐を漁ると巻物を見つけた。
喜んでいるナルトを横目にそれを見て微笑んでるカブトさんにお礼を言いに向かった。彼がいなかったら間違いなく僕等は巻物を集める事は出来なかった。

『ありがとう、お陰で巻物が揃いました』

「いいよこれくらい」

先程と変わらない笑みを浮かべた。なんだか言い様のない感覚に囚われたがすぐに気を取り直し疑問に思っていたのを聞いた。

『…あの、』

「なんだい?」

『危険な目にまで遇ったのにどうして僕達にここまでしてくれるんですか?』

メリットも何もないだろうに。あるのはデメリットだけ。

「唯のお節介だよ。君達がほっとけなくて…ね」

最後の言葉が聞き取れなかったが聞き返す程でもないのでそのまま。

「遅いぞ…カブト」

同じ班の人達と見られる人に声を掛けられカブトさん達は別の扉から行くと僕らとは別れた。

「またね、ソラさん」

『…はい』

最後に微笑んで。








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