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愛は僕等を救わない
02


慣れた手つきで薪に火をつけ棒に刺した魚を焼く。サスケが。
僕はというと魚に棒を刺してそれを渡す。…手が魚臭い。落ちるかなコレ。

時が経つのは早いもので第二試験が始まってもう四日目の昼だ。
僕からしたら長ーい四日間だった。いつ敵に襲われるかとビクビクしてたから。同時に、傷を癒す為とこんなのんびりしていいのかと思った。

「時間で言うとあと…25〜26時間しかないな…」

『一日か…』

長いようで短い。

「もう既に何チームも合格してるかも…そうなると…」

「あー早く!早く!焼っけねぇかなぁ〜」

なんだかな…ナルトには緊張感がないと言うか…折角のシリアスな場面をよくぶち壊せるよなぁ。

「もしかしたら…もう…天の巻物は無いのかも…」

「どういうことだ」

「期限の五日間のうち四日経っちゃってるってことは試験のトータル時間の八割はもう過ぎちゃってるってことだし…」

サクラの考えはこうだ。
参加チーム26組。天と地13本ずつしかない巻物、合格できるのは最大13チームとなる。だが大蛇丸が僕達の持っていた天の書を燃やした。
その時点で合格チームが一つ減った訳だ。それにその他の巻物が全て無事とは限らない。何れかの種類の巻物が紛失した時点でもう一方の巻物も無意味な物になる…。

「次の敵が…ラストチャンスだな!」

次の敵が現れれば、の話だが。

「なぁなぁ食べねーの?」

『え?あー…』

僕の手にはまだ口をつけてない魚がある。

『食べる?』

「いいのか!?」

そんなに見つめられたらあげるしかないだろ。食欲湧かないしいいよと渡せば嬉しそうにガッついた。試験中ろくに食べてないからかお腹は鳴るけど食べる気になれないからしょうがない。

サスケはスッと立ち上がり「飲み水をくんでくる」と行ってしまった。


「あのさ!あのさ!」

ナルトが地の書を掴み口に食べ物を残したまま喋り出す。

『全部飲み込んでから喋りなよ』

口の中の物が僕に飛んでくるから、と。
慌ててゴクン、と音を鳴らして飲み込み続きを話し出した。

「敵と戦わないで"天の書"を手にする方法があるってばよ」

「え!?」

『…嘘くさ』

「んなこと言わねーで最後まで聞けってばよ」

どうせろくな事じゃないんだろう。期待するだけ無駄だ。
ナルトは自分の鞄を漁り数本の巻物を出した。

『(ああ…やっぱり)』

今から言う事する事が手に取るように分かる。

「巻物なら幾らでもストック持ってっからな…これをちっと弄くって"天の書"そっくりに変えれば…」

「そんな事したって中に何が書いてあるか分かんないのよ!」

『だから見ようって言ってんだろ?』

「お!ソラ分かってんじゃん」

「ダメッ!!アンタ達ルールまで忘れたの…バカっ!!」

『僕は見たいなんて言ってない。見るつもりもない』

「えー!気になんねーのかよ中身」

『いや、気になるけど』

「巻物の中身は塔の中に辿り着くまで決して見るなって言われたでしょ!!」

「で…でも…このままじゃヤバいんでしょ……」

サクラがどうしようか迷ってる。迷ってる、じゃなくて絶対見ちゃいけないんだって。

『いやいやいや止めよう』

僕の声も聞かずナルトは巻物に手をかけた。

『ちょっ本当に――』

「やめた方がいい…」

ナルトの手を止めたのは僕ではなくカブトさんだった。




「…ったく、救いがたいな…」

「ごめんなさい…」

『………』

戻ってきたサスケとカブトさんになんで僕まで怒られなきゃいけないんだろう。一応止めたのに。とばっちりなんて最悪だ。

「ルールを無視した者は必ずリタイヤせざるをえない状況に追い込まれる」

『例えば?』

「前回の試験では途中巻物を見た者には…"催眠の術式"が目に入り込む様仕込まれていた。試験終了まで"死の森"で横たわるって寸法さ」

『うわあ…見なくて良かった』

なんで知ってるんだろう。前の試験はカブトさんの仲間が巻物を開けたのか?…それは有り得なそうだな。この人はルールや掟をしっかり守りそうだ。多分その仲間も、ね。

『ところでカブトさんはどうして一人でいるの?』

「色々あってな…はぐれた仲間を塔付近で待とうと急いでいた途中さ」

巻物はもう揃っていると天と地の書を見せてくれた。
まさか揃っていたとは思わなかった。だって六回もこの試験落ちてるというのに。試験内容がワンパターンだからやりやすかったとか?…うーん、分かんない。

「じゃ僕はこれで…」

「待て!」

サスケが呼び止め歩き出していたカブトさんが振り向いた。


「勝負しろ…」








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