愛は僕等を救わない
01
あれから四日目、傷を癒す為に二日間休み、一切行動はしなかった。お陰で敵に遭遇することもなく体調は万全といかなくとも大分回復した。僕の医療忍術もこういう時役に立った。
自分にも医療忍術を使えばいいのに、と言われたが自分には使えないからそれは出来ないと言った。自身に治療するなど僕にはまだチャクラコントロールが難しくて出来ないんだ。しようとしないだけだが。
ただ二日間一睡もできていない。瞼を閉じたらまた夢を見そうで…怖くて眠りにつけなかった。なんてアホらしい理由、ナルトに言ったら笑われそうだ。本日何度めかの欠伸が出た。
「ソラちょっといい?」
来ると思った。凄く話したそうな目をしていたから。
『何?』
そんなの聞かなくても分かってる。
「聞きたいことがあるの」
「俺もソラに聞きたいことがある」
え、サスケまで?
「なんだってばよ二人して!」
「いいからナルトは黙ってなさい!」
不憫だなぁ。
「その…」
口吃るサクラの代わりにサスケが言った。
「前吐血していたな。それに薬も持っていた。恐らく吐血しない為の物だろう。もしかして…持病があるのか?」
『そうだよ』
下手に嘘を吐いてもバレるから頷いた。何度かこの二日間に吐血した所を見られていたしいつまでも隠し通せるものでもなくこの先共に行動するのだから。
『生まれつき体が虚弱で服用してる。でも気にする程じゃない。三人の足手纏いにはならないから』
「そーいうことじゃなくて!」
『な…何』
サクラの気迫に圧倒され思わず身を引いた。
「何か異変あったらすぐ言え」
無理はするな、と聞いたことがある台詞に笑ってしまいそうになった。君はシカマルと同じこと言うんだね。なんて口には出さず頷いた。
『了解ー』
所詮口だけ。僕がそんなこと言う筈ないのに。やっぱり君達は何にも分かってない。僕も分かろうとしない。
同じ班、それだけの関係。それ以上や以下にもなるつもりはない。
「本当に言いなさいよ!」
本当に心配している目でなんだか申し訳なくなった。だがそれも刹那、ぐいっと強く両頬を掴まれた。
『いひゃいいひゃい!』
伸びる!痛い!
そんな僕の気持ちも知らず更に力が加わる。分かったから、と上手く喋れてないが言い、やっと放された両頬に手を寄せた。ヒリヒリする痛い…。
「ソラってば赤くなってるってばよ!ニヒヒ」
僕の顔を見て笑うナルトに殺意が芽生えた。こちとら物凄く痛かったんだぞ!いつもサクラに殴られてるナルトなら分かってくれると思ったのに!
「涙目で睨んでも怖くねぇってばよ」
睨んだが意味無かった。無視しよう、腹の虫が治まるまで。
僕の話が終わり、ご飯をどうするかという話しに移り魚を捕るのと薪を集めるのと別れ、僕とサクラは薪を集めることになった。魚を捕るのはサスケとナルト。喧嘩しないといいけど。
「ソラにもう一つ聞きたいことがあるんだけど」
今度はなんだろう。わざわざ二人きりの時に言うんだから良いことではないんだろうなぁ。
「あの時なんで私を庇ったの?」
あの時って?なんて意地悪に返した。大体分かる、音忍が来た時だろう。
「私ソラのこと嫌いだったのよ」
『うん。知ってる』
時々感じる視線が決して良いものではなく刺々しかったのを覚えてる。それは前からも感じてた。
「だったら…なんで…!」
『僕達仲間だろ?サクラが言ったんじゃないか。一緒の班だから、って』
嗚呼、まただ。また僕は平気で嘘を吐く。
「ごめん…私っ」
『もういいよ。早く薪を集めよう、ナルトとサスケが魚を捕ってくる前に』
あくまで笑顔で言った。
俯くサクラに見えてたかは分からないが置いて歩き出した。
『薪はこんくらいでいいな…』
よいしょ、と地道に集めてた所へ置きパッパッと手を払った。あー腰痛い。寝転がりたい。そしてそのまま眠ってしまいたい。今眠ればぐっすり眠れそう。だがここは石ばかりで寝転がったら痛そうだ。
取り敢えず後は火付けて捕れた魚を焼くだけ。
『サスケ呼んできてー』
サクラに頼み快く引き受けサスケの元に向かった彼女の後ろ姿をボンヤリ眺め僕はその場に腰を下ろした。
馴染んだ、方だよね。
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