愛は僕等を救わない
01
『今日も早いんだね』
「お前もな」
まだ時間あるのに偉いなー。僕は間違えて指定の時間より早く来てしまっただけだ。それも全部時計のせい。何故か一時間も早く進んでいたんだから!
今日の任務は畑の草むしりだった気がする。…疲れそう。蚊に刺されんの嫌だなぁ…。痒いのとか我慢できない。
ふと近くにある池が目に入った。
そうだ、丁度良い。
『あのさ、お願いがあるんだ』
「なんだ」
訝しそうに表情を歪めた。
どうせ僕の頼みなんてろくなことがないとでも思ってるんだろう。その通りだが。
『火遁の術を教えてほしいなーって…一人じゃどうしても上手くいかなくて…』
「やったのは何の術だ?」
『業火球の術だよ』
「それならチャクラがコントロール出来れば可能だ。馬鹿でも出来る」
馬鹿って余計…。
「印は馬と虎だ」
『馬ってどんなだっけ』
「………」
『ごめっ…!待って今思い出すから!!』
唸っていたら思い出せそうに無く、呆れた顔したサスケ君が助けてくれた。優しいんだか怖いんだか分かんない。
「こうだ」
僕の前で馬の印を結んだ。
わぁ…馬の印から間違ってた。
『こう?』
「ああ」
真似して印を結んでみる。
「取り敢えずやってみろ」
先にサスケの業火球を見たかったんだけどなぁ…。まぁ、後で見せてもらうとしよう。
池の方へ歩き集中し馬、虎の順で印を結んだ。
火遁、業火球の術!
予想よりは良く出来た。サスケは「こんなもんか」とか思うだろうけど。
ただ…、
『ケホ…ッケホッ』
噎せた。まだ慣れてないからかな、口元が熱く痛い、ヒリヒリする。
「案外出来るんだな」
『練習してたからねそれなりに…ケホッ』
慣れたら咳も出なくなるんだろうか…。
『サスケの見せてよ』
「一度だけだからな」
誰がお前なんかに、とか言うと思ったけどすんなりと頷いた。
なんだ、実は結構いい奴なんじゃん。
『わぁ…』
僕よりめっちゃ凄いじゃないか。自分と比べるのがそもそも間違いだがだって…こんなにも…。
「チャクラの練る量だ。もっと思いきってやればソラでも出来る。あとは練習だ」
『ありがとう。次会った時よりは絶対上手くなってみせるよ』
自分なりに笑顔で言えたつもりなのにプイっと顔を逸らされた。変だったかな…。
「あれ、口元赤くなってねー?」
『マジで?通りで痛いと思った』
「何したんだってばよ」
『なんだと思う?』
「んー…熱いラーメン食ったとか」
『…ナルトらしい答えだね』
まぁ、理由は教えないけど。喋らないでいたらナルトに「ダッセーの」って言われた。何を勘違いしてんだか。否定するのも面倒で適当に相槌を打った。
サクラちゃんが怪しそうに見ていたのを僕は知らない。
20110814
番外編というやつ
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