愛は僕等を救わない
05
なんで君達が、なんて聞きたいが驚きのあまり言葉が出ない。
だが数では此方が有利だ。
形勢逆転といこうじゃないか。
「サスケ君の前でアンタばっかりいい格好はさせないわよー!」
なんともいのちゃんらしい。
「大丈夫か?ソラ」
『これが何ともなさそうに見えんなら眼鏡掛けた方がいいよ』
「…そんな口利けんなら大丈夫だな」
『なんだそれ』
口から出た血を拭いヘラっと笑うとシカマルが顔を歪めた。きっと僕の姿を見て、だろう。
チョウジが焦ったように口を開く。
「シカマル…マフラー放してよォ〜!」
「放すかバカ!めんどくせーけどしょーがねーだろ!いのが出ていくのに男の俺等が逃げられるか!」
…どうやらチョウジは自分の意志で来たわけじゃないみたい。なんか…悲しい。シカマルもめんどくさかったみたいだし。
「お前は抜けたっていいんだぜ。おデブちゃん」
「え?今何て言ったのあの人…あんまり聞き取れなかったよ…」
チョウジにその台詞は非常にまずい。いや、今の状況だから逆にいいのか。このままキレてくれれば助かる。
「嫌なら引っ込んでろつったんだよ。このデブ!!」
言っちゃったー。
「僕はデブじゃない!!ポッチャリ系だ!コラー!!」
おぉ、久々にキレたとこ見た。先程まで弱気だった彼は何処に…。
『ここは三人に任せるよ』
「ああ。端っからそのつもりだ」
「任せなさい!サクラ…ソラ、後ろの二人頼んだわよ」
「うん…!」
『分かった』
「それじゃいのチーム全力で行くわよー!」
三人の連携は凄い。心配しなくても大丈夫だろうと僕はくるりとサクラに向き直った。
『治療する』
「医療忍術使えるの?」
『少しだけね。気休め程度には』
「だったら先に自分を治療しなさいよ!さっき血吐いて…っ!」
『大したことないから。いいからじっとしてて』
掌にチャクラを集中し先ずは額に手を当てた。段々と傷口は塞がっていき血も止まった。
「凄い…」
『これくらいならサクラも練習すればすぐ出来るよ』
続いて腕、足と傷ついた部位に当て治療していった。と言ってもチャクラがあまり無いので血を止めただけ。
『あとは…』
リーを治療出来ればいいんだか…その前に僕のチャクラがそこまで残ってるか…。
「いの…!」
シカマルの叫び声に目をやるといのちゃんが口から血を流して支えられていた。
心転身の術で自分にも攻撃を食らったんだと理解する。アイツ等は自分の仲間さえも躊躇わず攻撃する。なんて奴等…正に外道。
「この術…5分が限界ってとこですか」
影真似は制限があり長くは使えない。シカマルの術が解かれ包帯の奴は余裕の表情を見せた。前へ立ち上がり拳を握り締める。
『僕が相手だ』
「ソラ!」
シカマルやサクラの視線が痛いほど突き刺さる。それを無視した。
「君の実力はもう充分知っている。僕には敵わない」
『さっきのが本気じゃないって言ったら?』
「ほう…面白い」
…敵はまだ戦えるのか。体術だったらリーさん程じゃないが奴に負けない自信はある。
「だが無理はしない方がいいですよ。腹部から血が滲んでる。怪我しているんだろう?それも深い…」
バレてる…隠すつもりはなかったが…何故?確かに血は滲んで傷口は恐らく開いてる。が、深いかなんて見ても分からないだろうに。
余裕な表情がムカつき足にチャクラを集中し溜めた。すぐに蹴り飛ばせるようにと。
「気に入らないな……」
聞き覚えのある男の声が上から言葉が聞こえた。
太い木の幹に居たのは第一試験で隣の席だったヒナタのお兄さんと同じチームの女の人だった。
「田舎者の音忍風情が…。そんな二線級を苛めて勝利者気取りか」
威圧感があるというか…。
「そこに倒れてるオカッパ君は俺達のチームなんだが…好き勝手やってくれたな」
目付きが変わった。
全てを見透かされてるような…とても嫌なら眼。
「気に入らないのなら格好つけてないでここに降りてきたらいい…」
「…いや、どうやらその必要は無いようだ…」
何かを感じとったらしい彼は降りてこなかった。
「サスケ君!!目が覚め…」
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