愛は僕等を救わない
04
「さぁーて…じゃあ仕上げだ」
横たわるリーに右腕を振り上げた。
「させないわ!」
『待てサクラ!』
制止の声も聞かず手裏剣を放つ。重たい足を上げサクラの前へ出た瞬間、ザクに手裏剣を跳ね返されてしまった。それはサクラに当たること無く僕の血が流れた。
「…ソラっ……」
『大丈夫か!?』
「私は大丈夫…でもソラが…痛っ!!」
振り向くと地面に付きそうな程の長髪の女がサクラの髪を鷲掴みしていた。
『その手を離せ!』
「おっと、余所見しちゃいけねぇなぁ」
すぐ後ろには敵が迫っていた。
僕に向かってくるクナイを瞬時に避けた。
「…案外反射神経はいいんだな」
『どーも』
厄介な術をやる間も与えず足蹴りし怯んだ隙にザクと呼ばれた男の背後へ回りクナイを首元へ突き刺す。
『今すぐサクラを放せ。こいつを殺すぞ』
「別に構わないわ。だけど貴方は困るんじゃない?この女に傷を付けられたら…」
『っ…』
「分かったならクナイを退けな」
渋々クナイを下ろすと地面へ俯せに叩きつけら首元にクナイを突き付けられた。
身動きもとれない。何やってるんだ…これじゃ全く状況が変わってないじゃないか!
「サスケとかいう奴を殺しなよ。こいつ等にちょっとした…余興を見してやろーよ」
「お!いいねー」
『…やめろ』
「動くなって言っただろ!」
髪を掴まれ地面に叩きつけられた。
痛い、痛いよ。なんでこんな目に遇わなくちゃいけないの?
僕にもっと力があれば傷つかずに済んだ。こんな状況にだってならなかった筈だ。まるで波の国の時みたい、もっと強ければ…なんて。
徐にサクラがクナイを取り出した。
そして掴まれていた自分の髪を切った。
好きな人の為に伸ばしていた大切な髪。綺麗な桜色の髪。それが今無常にも宙を舞った。
嬉しそうに顔を赤くしながら彼のことを話すサクラが浮かんだ。
掴まれていた手から解放され自由になったサクラは立ち上がりキンという女とザクに立ち向かう。
早く、早く僕も応戦しなきゃ!
「君は動くなよ」
尚も動けない僕の背中にもう一人が重くのし掛かった。
この状況を打破出来る方法ないか…考えるんだ!
「放せコラ!!」
サクラがザクの腕に噛み付く姿が目に写った。
『退け!』
腕と足にチャクラを溜め背中に乗る敵を力を込めて殴った。怯み背中が軽くなったのが分かれば反転し足蹴りした。
沢山チャクラを足に溜めたお陰か思った以上に吹き飛んだ。
サクラは、と辺りを見渡すとザクに振り払われ地面に頭から打ち付けていた。
サクラの所へ走り相手に向かい印を結ぶ。
(水遁、水乱波!)
僕の口元から出た水をザクはギリギリで避けた。もう一度やろうとするがなんだか苦しくなり噎せた。
『ゲホッゲホ…ッ』
口元に手を寄せ口内から血が流れた。
こんな時に……!
敵は両手を僕に向けた。
「このガキィ!!」
その時、僕等に背を向け現れたのは見覚えのある三人だった。
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