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愛は僕等を救わない
03


それよりも早く見覚えのある人が一瞬で奴等を倒した。僕等の前に立ち敵と向かい合う。
相手の何者だ、という問いに彼は堂々と答えた。


「木ノ葉の美しき碧い野獣…ロック・リーだ!」


美しき碧い野獣ってどうかと思うけど今のタイミングで現れたのは良かった。頭が混乱して最初は口が聞けず何故ここにいるのかと聞きたかったがそれよりも感謝の気持ちで一杯だった。

『ありがとう』

「いえ、お気になさらず」

僕を見て微笑んだ。
濃いとか言ってごめんなさい。いや、いつどこで見てもやっぱ濃いけどなんだか…今はかっこよく見えます少しだけ。

「何であんたがここに…」

「僕は…あなた方がピンチの時はいつでも現れますよ」

それってもしかしなくてもストーカーしてるんじゃ…。余計なことは言わないでおこう。

「とにかくありがと…助かったわ!」

「前に一度言ったでしょ、死ぬまでアナタを守るって…」


彼の背中は逞しく見えた。
そんなこと言ったっけか…。余程サクラのことが好きなんだなとこんな時に羨ましいと思ってしまった。
誰かに思われてるっていいな、と。


「仕方ないなぁ…サスケ君は君にあげるよ。こいつらは僕が殺す!」

ホルスターに手を伸ばしクナイを構え前に出ようとするがリーに止められた。

「ソラさんは下がってて」

考えがあるみたいだ。…邪魔しないよう、ここは大人しく見てるとしよう。

リーが地面に深く肩まで手を突っ込んだ。相手が頭上で仕掛けようとするがそれよりも早く地面から手を引き抜くと大きな大木が現れ攻撃は大木へと受けた。

「何かネタがあるんだろ…?バカ正直には避けないよ」

やっぱりアイツは触れないで大木に攻撃した。
でもどうやって…。

リーが両腕の包帯を解どき始めた。
サスケにやったように相手に表蓮華をやるつもりだ。


決まった、筈だった。
なのにアイツに大きな外傷は見られない。どうやらザクという奴が地面に何かしたんだ。

「次は僕の番だ…」

起き上がり右腕を横へ伸ばした。
慌てて僕は叫んだ。

『気をつけて!アイツの攻撃は音だ!躱しても意味がない!』

駄目だ、今のリーじゃ正面に攻撃を食らってしまう。体がフラついてる。

しゃがみ込むリーに向かって駆け出した敵に数本クナイを投げたが一本だけ掠りあとは虚しく地面へ突き刺さった。

すんでのところでリーは奴の攻撃を避けたが様子が可笑しい。

「そう、僕達の技は音速だ」

地面に両手を置き、吐いき左耳から血が流れる。左耳を押さえ息を整える。

「一体何を…っ!」

「そこの藍色の奴が言う通り音だよ。拳は躱しても音が君を攻撃したのさ」

音が聞こえるということは空気が揺れているのを耳の鼓膜がキャッチするということ。鼓膜の更に奥深くにある三半規管に衝撃を与えることで平衡感覚を失う。それが奴の攻撃。

正面に食らった彼は暫く動けないだろう。

「よーし…次は君だ」

先程と同様、右腕を伸ばしサクラ目掛けて走り出す。同時に僕は掌を合わせ合掌した。

すると何処からともなく敵目掛けて突風が吹き付け数メートル飛ばされ地面に体を打ち付けた。

「今の…何?」

『風遁の術』

なんで僕が風遁の術を使えるかって顔してる。そりゃ今まで使わなかったしそう疑問に思うのも無理はない。

「今のは…」

呟きが聞こえたがそこへ透かさずリーが木ノ葉旋風を繰り出した。
だが明らかに動きが鈍ってる。敵に当たることもなく易々と躱されてしまった。彼に勝ち目はないんだ…。

『もういい!だから止めて!』

「うわぁああああ!!」


悲鳴を上げて倒れた。

「リーさん!!」








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