愛は僕等を救わない
02
『ふぁ…』
大きな欠伸が出た。生理的に涙が出る。
やっぱり寝足りない…目を擦るが眠い怠い。頭がカクッとなり寝そうになっては起きるのを繰り返してた。寝ちゃダメだ起きろ自分。傷口触ったら眠気飛ぶかなとか馬鹿なこと考えて少し触れたら案の定痛かった。お陰で眠気は飛んだが今度は痛いし辛い。
「何やってんの…まだ眠いんじゃない」
『…寝たんじゃなかったの?』
変なとこ見られた…。忘れよう、お願いだから忘れてくれ。
「いつ敵が襲ってくるか分からないしソラに見張り任せるのが心配で眠れないのよ」
『何それ酷い。確かに僕じゃ頼りないかもしれないけどサクラちゃんは少し休んだ方が、』
「冗談よ」
『………え』
「ソラは頼りにしてる。ただ私だけ呑気に寝てられないってこと!一緒に起きてるわ」
気迫が凄い。僕が何言っても無駄なんだろうな…諦めよ。
『…ありがと』
それにサクラちゃんが一緒に居てくれたら心強い。一人じゃ不安だったから。
「私のことは呼び捨てでいいわ」
『さ…サクラ?』
「うん。ソラにちゃん付けされるのって違和感あるのよねぇ」
『そう、かな…』
僕の中では「サクラちゃん」が浸透してるのに。
「私も呼び捨てだし。それに一緒の班なんだから」
『サクラ…』
改めて呼んでみたがなんだか嬉しいが気恥ずかしい。
サクラはそれを聞いて満足なのかニコッと笑った。
可愛い…桜色の髪が良く映える。
「寝ずの見張りかい」
声のする方へ振り向くと三人の人影が見えた。
額当てを見ると音譜のマークが。
『音忍!?』
死と書かれた趣味悪い服と片目以外が包帯で覆われている奴ともう一人は女だった。
談笑していて敵の気配に全く気づけなかった。もっと警戒しとくんだった!非常にヤバい。今僕らは戦える様子じゃない。怪我人二人を庇いながら僕とサクラが戦うとしてもまともに戦える筈がないんだ。
「でももう必要ない…サスケ君を起こしてくれよ。僕達そいつと戦いたいんでね!」
「何言ってるのよ!大蛇丸って奴が陰で糸引いてるのは知ってるわ……一体何が目的なのよ!?」
『サ…サクラっ』
「サスケ君の首筋の変な痣は何なのよ!!こんなことしといて…何が戦いたい戦いたいよ!!」
全て言ってしまった。
「さーて…何をお考えなのかな…あの人は…」
「しかしそれを聞いちゃあ黙っちゃられねーな…この女等も俺が殺る。サスケとやらも俺が殺る」
『殺る…?お前なんかに殺られるほど弱かねーよ』
「てめぇ…!」
感情が高まり思ったことをつい言ってしまった。相手の怒りを煽って…何やってんだ僕は。
「待てザク」
顔を包帯に覆われてる奴が言った。
「ブービートラップってのはさ…バレないように作らなきゃ意味無いよ」
「くだらねェ」
…バレてる。
「まあ、こいつ等なんか用無いからさ、すぐ殺そ」
『サクラ!』
大丈夫、とサクラはクナイで地面に伸びていた糸を切った。
その途端、奴等が居る所に大きな丸太が襲いかかる。
いつの間にこんなに沢山の手の込んだ仕掛けを…疲れている筈なのにサクラは凄い。
「ハッキリ言って才能ないよ君は…」
なのに丸太に手を添えただけでいとも簡単に破壊されてしまった。
僕等に向かってくる。
クナイを強く握りしめサクラの前に飛び出した。
←→
無料HPエムペ!