[携帯モード] [URL送信]

愛は僕等を救わない
04


「あの大蛇を見事倒してきたようね」

奴はナルトが居なかったわけを何か知っているらしい。

『大蛇って…ナルト、蛇といたの?』

「ああ。物凄くデカイ蛇だったってばよ。飲み込まれて大変だった…」

飲み込まれて…どうやって蛇の腹から出てきたんだ。



写輪眼をやめ預けていた巻物を持ち有らぬことを口走った。

「巻物ならお前にやる。頼む…これを持って引いてくれ」

『何言ってんだ!正気か!?』

「これしか助かる方法は無いんだ!ソラなら分かるだろ?」

『分かんないよ!らしくない!』

「そうだサスケ!巻物敵にやってどーすんだってばよ!!」

「なるほど…本能がいい。"獲物"が"捕食者"に期待できるのは他の餌で自分自身を見逃してもらうことだけですものね」

何を意味の分からないことを!

「受け取れ!」

『わっバカ!』

巻物を敵に向かって投げた。
それをナルトが飛び出し敵の手に渡る前に取り僕に投げた。

「ソラ!」

それを僕は片手で受け取った。
…危なかった、ナルトが飛び出してなかったら今頃奴の手に…。


「てめェ!よけーなことするな!この状況が分かってるのか!!」

ナルトがサスケを殴った。
何もそこまでしなくても…だがナルトの気が治まらないんだろう。

「てめーはサスケの偽者だろ…」

「…俺は本物だ…!」

「嘘つけ。こんなバカで腰抜け野郎はぜってー俺の知ってるサスケじゃねー!!」

やっぱりナルトが来てくれて良かった。僕はあんなに僕はあんなにハッキリ言えない。だから率直に言うナルトいてくれて本当に良かった。

「こいつがどんだけ強えーか知らねーが…巻物渡したって俺達を見逃す保証がどこにあんだよ。ビビって状況分かってねーのはお前の方だってばよ!」

「フフフ…ナルト君…正解よ。巻物なんて…殺して奪えばいいんだからね…!」

巻物なんてどうでもいい。奴は端から僕等を殺すつもりだったんだ。命乞いなんて馬鹿げてる。今は奴をなんとかしなければ。

親指を噛み左腕に書かれた刺青にその血を塗った。
そこにナルトが敵へ駆け出した。

『待て!行くな!』

「口寄せの術」

口寄せされたのは大蛇だった。とても大きな…それこそ何十人もの人を余裕で丸のみできそうだ。
恐怖で足が竦む。


『ナルト!!』

大蛇に跳ね返され体を激しく樹に打ち付けた。
ナルトが地面へ落ちていく…そう思ったのだが機転を利かし大蛇の頭を殴った。その拳はとても重くいつものナルトとは明らかに違った。

「クソ喰らえーーー!!!」

瞳の色が紅く染まっていた。濃い血の紅に。

しかし大蛇の頭上に乗ったに女性によって吹き飛ばされてしまった。

「次はサスケ君、君よ!」

「サスケ君!」

サクラちゃんが名前を叫ぶがその場から固まってしまったのかのように動かない。

寸前の所でナルトが両腕を広げ大蛇を止めた。

「…よォ、怪我はねーかよ…ビビリ君」

いつの日か、サスケがナルトに言った台詞だった。

「うわあっ」

長い舌がナルトを捉えた。

「ちくしょー放せー!!」

ナルトの服を捲り腹に浮き出ている封印に手を当てた。そしてグッタリとし、動かなくなってしまった。

『何をしたんだ!ナルトを放せ!』

「言われなくてもそうするわ」

投げ出されたナルトにサクラちゃんがクナイを投げ落ちずに服が樹に刺さった。
ナルトの元へ駆け寄ろうとした時、長く気持ち悪い舌が僕の首に巻き付く。苦しい、いくら抗おうとも余計苦しくなる一方で。

『…っく…』

「まだ開眼すらしてないのね。道理で弱い筈だわ」

『なに、を…っ』

「…貴方が欲しいけど死期が近いみたい。きっかけをあげても良いけど…生かすも殺すも貴方次第」

『あんたに…っ僕の何が分かるって言うんだ!』

「分かるわよ。貴方よりはね。ああ、その年で五大性質を使えるなんて素質があるのに台無しだわ」

そんなこと言ってないのになんで知ってるんだ。怖い怖い怖い怖い怖い。怯んじゃダメだ、目を閉じちゃダメだ。

「天の書、頂いてくわね」

ナルトが守った巻物が…僕のせいで…。

『はな…せっ!』

クナイで相手の肩を突き刺した。手応えはあった。確かに刺した、血も出てる、なのに顔色ひとつ変わらない。こいつには痛覚がないのか?

「まだ抵抗するの…もっと痛めつければ大人しくなるかしら?」

クナイで脇腹を刺された。深く、捻ってそして抜いた。

『うあっ!』

あまりの苦痛に顔が歪む。本当は声の出る限り叫んでしまいたいだが悲鳴なんて上げてたまるか。

「もっと声を上げると思ったのに…つまらない子供ね」

そして地面へ投げ出された。
痛い熱い…腹部からドクドク血が溢れているのが分かる。投げ出される前に囁かれた奴の声が脳裏から離れない。

「これは…薬?」

腰に下げてた袋が奴の手元にあった。いつの間に…あれがないと僕は…。

『返せ…!』

「残念ね」

ボウッと袋に火がつき薬が燃え、あっという間に灰となり落ちた。


「ソラっ…」

珍しく狼狽えた様子のサスケの姿が眼に写った。
今、余程酷い格好してるんだろうなぁ。…自分が情けない。

サクラちゃんがサスケに何か叫んだが耳に入ってこない、全て曖昧に聞こえる。視界もボヤけてきた。自分の荒い息遣いが聞こえる。
不思議と「イタチ」という名前が聞こえた。どこかで聞いたことあるような…ああ、ダメだ、頭が働かない。

歪む視界の中最後にぼんやりと見たのは奴がサスケの首元に噛みつき苦しむサスケの姿だった。





20110521



第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!