愛は僕等を救わない
02
『……』
死の森に入り歩く事数分…何か聞こえた。
「今の、人の悲鳴よね!?」
「ど…どーってことねーってばよ!」
そう言うナルトの声は震えてる。それに比べサスケは平然としている。無理だと分かってるがナルトにもこう、落ち着いてほしい。
「オレってばちっとしょんべん…」
平常を装うかのように気の抜けた声を出し近くでしようとするがサクラちゃんがつかさず止めに入った。
「レディの前で何晒そうとしてんのよ!草陰行きなさいよバカ!!」
拳でぶつとゴチっと鈍い音がした。痛そ…。
「ソラも何か言いなさい!」
『ああ、うん』
ぶたれた頭を痛そうに押さえながらナルトは木々の奥へ行った。
「ナルトったら全く…ソラも何か言わなきゃアイツ調子乗るわよ!」
『僕は平気』
「目の前でされても平気なの?」
『いや目の前は困るけど隠してれば…』
「あんたってほんと」
言いかけた時ナルトがやって来た。
「あーすっげー出た〜すっきりー!!」
いつもと変わらない筈なのにどこか違和感がある。
「だからレディの前でそーいう……」
ドコッ
サクラちゃんが言いかけ突然サスケがナルトを殴った。
「本物のナルトはどこだ!」
「急に何わけわか…」
「手裏剣ホルスターが左脚についてる。あいつは右利きだ。それに決定的な違いはさっきあの試験官につけられた傷跡がお前にはない…」
『…あ』
サスケに言われた左脚を見れば確かにホルスターが付いてる。今気付いた。違和感ってのはこれだったのかな。
「てめーはナルトより変化がヘタだな。偽者ヤロー」
「バレちゃあ仕方ねえ!巻物持ってんのは誰だ!?」
あっさり変化を解くと僕等目掛けて走り出した。
「火遁、鳳仙花の術!!」
この場はサスケに任せ僕は捕まってるだろうナルトを探しに駆け出した。
木の枝に上り上から辺りを見渡す。
「ソラー!!」
『ナルト発見ー』
手足を拘束されクネクネ動くのを見つけた。
『なに簡単に勝手に捕まってんだか…』
「いいからさっさと助けろっ!」
『ほらよ』
クナイで巻かれた縄を解いた。
その時、爆発音が聞こえた。
『今の…サスケのいた所からだ』
もたもたしちゃいられない!
無事を祈り二人のもとに戻るとサスケがクナイを胸に突き刺していた。
胸から流れ出すのは赤い鮮血。
「いいか!気を抜いたら本気で殺されるぞ!」
相手は部が悪いと今さら思ったのか退いていった。
サスケは相手を殺す気だったのだろうか。
「一旦四人バラバラになった場合例えそれが仲間であっても信用するな。今みたいなことになりかねない」
大勢を建て直した方がいいと四人地面に座り話し合う。
「それじゃどーするの?」
「念のため合言葉を決めておく。よく聞け。言うのは一度きりだ」
短いのだったらいいなぁ。出来れば「山、川」みたいなやつ希望。長いのは覚えられない。覚える気がないと言った方が正しいのかも。
「忍歌忍機…と問うその答えはこうだ"大勢の敵の騒ぎは忍びよし静かな方に隠れ家もなし。忍には時を知ることこそ大事なれ… 敵のつかれと油断するとき"」
……思ってたのより長い。こんなの僕に覚えられるわけがない!それを分かってて言ってるのだろうか?
「OK!」
「そんなの覚えられるわけないじゃん」
「アンタバカね。私なんて即覚えよ!」
『嘘だろ…あんな長いの一度聞いただけじゃ覚えらんないよ』
「本当よ。忍歌忍機と問うその答えは?」
『え、えっと…大勢………』
沈黙が続く。もうこの先全く覚えてない。
サクラちゃんが呆れた顔で僕を見る。ああ…視線が痛い。
何か別なことを……。
『あ、巻物は誰が持つ?』
「俺が持つ」
その方が僕も安心する。
サクラちゃんでもいいが僕かナルトが持ったら確実に奪われる。
三人の足手纏いにだけはなりたくない。
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