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愛は僕等を救わない
01
後ろの戸から教室に入れば先生が不在で生徒は騒ぎ放題暴れ放題。席から離れ友達と喋ったり1人読書をしてたりと好き勝手している。これだけ煩いと僕が今来た事に誰も気付いてないんだろうな…なんか悲しい。
なんて自由なクラス…でも良かった、これで遅刻したの怒られないで済む。

ホッと胸をなで下ろし窓際の一番後ろの席に向かった。

「ソラちゃんおはよう」
『おはよ』

一番最初に声を掛けて来たのはヒナタ。控え目な笑顔であいさつをしてくれた。同性の唯一の友達だ。
因みに席は僕の斜め前だから近い。僕の隣りは…

「よう、遅かったじゃねぇか」

コイツ。シカマルだ。授業中困った時教えてくれるから感謝はしてる心の中で。「めんどくせぇ」か「眠い」って教えてくれない時あるけど。否、大体教えてくれないな…しつこく聞きまくってやっと教えてくれる。

『これでも急いできたんだけどなぁ』
「その割りには全然息切れてねぇけど」
『走ってないからね。イルカ先生は?』
「ナルトの所に行ったみたいだよ」

お菓子を口へ運びながらチョウジが教えてくれた。左手にはポテチの袋が…いつものことだが。

『ナルト?あー…大変だね先生』

どうせまたいたずらでもしてるんだろう。その度にイルカ先生に怒られる。懲りない奴…まぁ嫌いじゃないけど。ただ煩い。

『あ、もしかしてヒナタ心配してる?』

こそっと耳元でナルトの名前を言えば途端に頬を真赤に染めた。なんて可愛い…!耳まで赤くなってる。

「あの、その…」
『大丈夫。ほら来るよ』

ガラガラと扉が開く。みんな急いで席に着くとイルカ先生に引き摺られてナルトが入って来た。縄で縛られて可哀相というかその姿は哀れ。

「こいっ!」
「いてっ!イルカ先生痛いってばよ!」

イルカ先生めっちゃ怒ってる。今回は一体何をしたんだろう、普通に生活していれば怒られないのに…話を聞いてると歴代火影様達の顔岩に落書きしたらしい、ペンキで。やるな…僕にはとても出来やしないそんな恐れ多い事。ある意味尊敬するよある意味ね。

「明日は忍者学校の卒業試験だぞ!!」
『…え』

嘘だ初耳なんだけど知らなかったよそんなこと。もうそんな時期か。

『ねぇ明日試験って知ってた?』
「当たり前だろ。前からイルカが言ってたじゃねぇか。話聞いてなかったのかよ」
『うっ…それはお互い様だろ』

訝しげな表情をした。

「俺はちゃんと聞いてた」
『いつも寝てるくせに』
「お前もな」
『う…』

当たってるから何も言い返せないのが悔しい。

「チョウジだって知ってたぞ」
『嘘だ』
「本当だよ」
『マジで…』
「知らなかったの多分ソラだけだよ」
「多分つーか絶対そうだな」
『ひどっ』

チョウジにそんなこと言われるとは…僕も駄目だな。二人ともイルカ先生の話を真面目に聞くとはとても思えないが…。
どうせ今試験があると分かっても練習なんてしないしいつ今日試験でも滅多に落ちない受かる自信がある。なんたって今までで落ちたのはナルトだけだから。他の人は全員受かってるんだ。
早く説教終わんないかな…あでも授業潰れるからいいか、このまま怒られ続けてくれナルト。


「お前は前回もその前も試験に落ちてる!外でいたずらしてる場合じゃないだろバカヤロー!!」
「はいはい」

プチ
あ、なんか切れた。

「今日の授業は変化の術の復習テストだ。全員並べー!」
「「えーーー!!」」

アイツのせいでテストか…最悪だ。変化は基本中の基本だけどテストなんてかったるい。
これから寝ようと思ってたのに、僕の睡眠時間が!

『君のせいだぞ』
「なっなんだよ」
『…テスト』
「いいじゃねぇかどーせ余裕なんだろ」
『余裕…うーん、余裕っちゃあ余裕だけど』
「だけど?なんだってばよ」
『睡眠時間が…』
「いっつも寝てるのにまだ寝るのか!?」
『いっつもは寝てないよたまーにだから』
「俺が見る時は大体寝てるってばよ」
『気のせいだって。僕は今眠いんだよ…ふぁ…』

口に手を当て欠伸をすると涙も出てきた。ついでに大きく背伸びをした。なんかサッパリした。


「あ…次私だ」

そう呟くとヒナタが席から立った。もうそんなに進んでたのか…早いな。

『頑張ってね』
「うんありがとう」


…やっぱり可愛い。








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