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愛は僕等を救わない
01


翌日。
やっぱりサクラちゃんの様子が変だ、なんだか無理に笑ってる様。

忍者学校の前には既に中忍試験を受けに来た下忍が沢山いた。
見た感じじゃ僕等より年上が断然多い。タメなんて今のところ見当たらない。
中に入り廊下を歩いてると教室のドアの前に人だかりが出来ていて二人の柄の悪い男に全身緑色の服を着たおかっぱの少年とおだんごで二つ結びの子が殴られていた。顔には出来たばかりの痛々しい傷が。

「中忍っていったら部隊の隊長レベル。任務の失敗、部下の死亡…それは全て隊長の責任なんだ。それをこんなガキが…」

「正論だな。…だが通してもらう。俺は三階に用があるんでな」

「気付いたのか…」

『え、何が』

僕の知らないうちに話が進んでいく。何に気付いたのか全く分らない。

「サクラどうだ?お前なら一番に気付いてる筈だ。お前の分析力と幻術のノウハウは…俺達の班で一番伸びてるからな」

「とっくに気付いてるわよ。だってここは二階じゃない」

『(そうだったのか…)』

この教室は三階になっていたが幻術が解かれると二階になった。

「ふーん…なかなかやるねェ。でも…見破っただけじゃあ…ねぇっ!!」

「!!」

バシッ
サスケと柄の悪い人が蹴りを繰り出そうとしたがそれをおかっぱ少年が間に入り止めた。
速い。双方の攻撃の軌道を完全に見切って蹴りと蹴りの合間に体を滑り込ませるなんて先程まで殴られてたのにまるで別人。

「僕の名前はロック・リー。サクラさんというんですね…」

サクラちゃんだけを見つめながら近付いて来る。近くで見ると眉毛が太くて…なんだろう、初対面でこんなに受け付けないのは初めてだ。

「僕とお付き合いしましょう!!死ぬまで貴方を守りますから!!」

「絶対…イヤ…あんた濃ゆい…」

ウィンクまでして歯を光らせた。一目ぼれしたんだろうか…だがサクラちゃんは拒絶する。

「おいそこのお前…名乗れ」

あ、ヒナタと黒髪に同じ目。でもこっちの方が気が強そう。…お兄さん?

「答える義務はないな…」

素っ気ない態度をとる。サスケばっかり名前聞かれてる。
急に明るくなったサクラちゃんに手を引かれながら三階へ向かった。






「目つきの悪い君ちょっと待ってくれ!」

さっきのおかっぱの人だ。なんだろう、またサスケに用か。

「何だ?」

「今ここで、僕と勝負しませんか」

自分の名前を言うとリーはサスケの名前を言った。名前知ってたのか…有名なんだ、「うちは」って。僕なんてサクラちゃんやいのちゃんに聞くまで全然知らなかったのに。

「天才忍者と謳われた一族の末裔に…僕の技がどこまで通用するのか試したい。それに…」

一点を見つめるその先にはサクラちゃんがいて、リーは頬を紅く染めながらウィンクをすると「天使は君だ!」とクサい台詞を吐き今度は強烈な投げキッスをした。それを全力で避ける。

「変なモン投げんじゃないわよ!」

「そんなに嫌がらなくても…」

本当に好きになったのか。ああ、だからサクラちゃんの前で良い格好見せたいって訳か。

「"うちは"の名を知ってて挑んでくるなんてな。この名がどんなもんか…思い知るか、ゲジマユ」

「是非!」

ゲジマユは否定しないのか!自覚してるのかな…それとも耳にはいってないとか?
今まで黙って聞いてたナルトが口を挟む。

「待て。ゲジマユは俺がやるってばよ!五分もあれば片付く!」

「僕が闘いたいのは君じゃない。うちはです」

「どいつもこいつもサスケサスケってうるせーってばよ!!」

ドガッ
「木ノ葉烈風!!」

「うわァ!!」

ナルトが大きな音を立て壁に激突した。…大丈夫かな。
凄い、五分も経たずに終わった。リーの動きが全く見えなかったな…速い。印を組んでる様子は一切見られなかった。忍術は使ってないみたいだ。

「宣言します。君達は僕に絶対敵いません。何故なら今僕は木ノ葉の下忍で一番強いですからね」

偉く強きだ。確かに今のを見て強いと思ったが。

「面白い。やってやる」

『待って、受付の四時まであと三十分もない』

「五分で終わる…」

「サスケ君!」

もう時間が無いというのに静止の言葉も聞かず闘い始めた。

「木ノ葉旋風!!」

リーの蹴りがスレスレにサスケの頭上を駆けた。至近距離から次の攻撃が繰り出されるのをサスケは素早くガードするがそれをすり抜け頬に直撃した。

「確かにガードした筈なのに…」

『あ、写輪眼になってる』

目の色が真赤になった。カカシ先生と同じ紅い目。

「いつの間に…しかも両目!さすがうちは一族!そうよね…サスケ君がこんな奴に負ける筈ないもんね」

『(凄いベタ褒め…)』

だがそんな思いとは反対にリーの蹴りがまたサスケに直撃した。リーは腕に巻かれている包帯を少しずつ解く。次は一体何をするつもりなんだろう。

「!!」

突然飛んできた風車が解いた包帯を通して壁に突き刺さった。

「そこまでだリー!」

動揺したのか受け身をとれなかったサスケをサクラちゃん駆け出し受け止めた。

「大丈夫!?サスケ君!!」

サクラちゃんの問い掛けにも答えない。勝てると思って勝負を受けた相手に敗北した事が堪えたんだろう。
しかし僕が気になるのはリーではなく…。

「今の技は禁じ手であろうが!」

「すみません、つい…」

リーに説教してる亀だ。普通の亀じゃない、結構大きい。しかも喋ってる。風車を投げたのもこの亀なんだろうか。でもどうやって?どっからどう見ても亀だし…。









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