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愛は僕等を救わない
03





『来ない…』

「何であの人は自分で呼び出しといて常に人を待たせるのよ!!」

遂にサクラちゃんが切れた。あ、いや、昨日も一昨日も怒ってたけどこんなに怒りを露にするのは多分初めて。

「寝坊したからってブローを諦めて来る乙女の気持ちどうしてくれんのよ!!」

『いつもと変わんないよ?』

「ここ見なさいここ!」

ここらへんと言われたところを見れば確かに少し後ろ髪がハネてた。僕は気にしないけどな…。

「俺なんか寝坊したから顔も洗ってないし歯も磨けなかったんだってばよ!」

『え』

「それは汚いわよ…」

歯磨かないで朝ご飯は食べてきたのか。寝坊してもそれはない。僕だったら諦めて遅刻する。


「やあ!お早う諸君!!」

いつも通り遅刻しカカシ先生は平気で嘘を吐いた。今日は人生という道に迷ってとか。

「いきなりだがお前達を中忍選抜試験に推薦しちゃったから」

「なんですってー!!」

『おー』

昨日あの女の人が言ってたヤツか。という事は試験に出ればまたあの…なんだったっけ、赤髪の少年…………我愛羅…?に会える。

「そんな事言っても誤魔化され…」

「志願書だ」

それぞれ渡されたのは小さい長方形の紙。小さいから無くしちゃいそう。

「カカシ先生大好きーっ!!」

「離れろって…」

ナルトは勢い良くカカシ先生に飛び付いた。

「推薦は強制じゃあない。受験するかしないかを決めるのはお前達の自由だ」

受けたい者だけその志願書にサインして明日の午後四時までに学校の301に行けとの事。

「以上!」

それだけ言うと消えた。いつも直ぐどこかに消えてしまう。そんなに上忍っていうのは忙しいのかな。
…中忍試験どうしようかな。今回受けなくても次回あるだろうし…でも後々受けるなら今回受けた方がいいか。でもなぁ…どうしよう。面倒くさそう。

「むっふっふっふーん中忍試験!中忍試験!」

紙を貰ってからナルトは異様にテンションが高い。サスケまで嬉しそうに見える。中忍に慣れるのはいいがそう簡単な試験ではない筈で。きっと難しいんだろうな…。
サクラちゃんは試験の話からずっと元気が無い。今朝のテンションとは違くまるで別人の様。

『どうしたの?』

「…ソラは試験受ける?」

『んー…受けようかなとは思ってる』

面倒くさいのはあるがどうせいつかは受けなくてはいけないんだし受けるだけ受けよう。よし、今決めた。

「そう…」

『サクラちゃんはどうするの?』

「…迷ってる」

『参加自由だし自分の思う通りにしなよ』

「うん…そうよね」

小さく頷いた。





「おー」

『シカマルじゃん』

駄菓子屋に行くとお菓子の入った袋を下げアイスを口に加えたシカマルが外にあるベンチに座っていた。隣にチョウジがいないのは珍しい。
僕もアイス食べよーっと。

『おばあちゃーんアイス貰うよー』

お目当てのアイスを手に取りあいよ、とお金を出してシカマルの隣に座り棒アイスを食べ始めた。

「最近どうだ?」

『どうって…何が?』

「任務のことだよ」

なんだ任務のことか。いつも一言足らないんだよ君は。
そんな僕の心情を知ってか知らずかパクッと口から放してたアイスを食べられた。一口だけだけど。

『あああああっ!!』

僕のアイスがっ…いいけどね別に。別に……。

「お前が悪い」

恨めしそうに表情をするが彼に反省の色は全く見られない。

『…前話した波の国以降はずーっとDランクの任務やってる』

前というのは波の国から帰ってきた後これまた偶然シカマルに会ったのだ。そん時はチョウジといのちゃんもいて丁度任務終わりらしく四人で長い間談笑した。
んで最近の任務は草取りとか探し物とか子守りとかそんなのばっか。あれは最早任務というより人助け、お手伝いだ。俺んとこもそんなんだわ、と言うと最後の一口を口に入れ食べ終わり棒に何も書かれていないと分かるとゴミ箱に捨てた。

『志願書渡された?』

今度は食べられないようアイスを加えたまま聞いた。ふがふがするがまた食べられるよりはマシ。それに小さく頷き志願書渡されたのは紅先生とアスマ先生とカカシ先生の班だけだと教えてくれた。


『さて、中忍試験どうしようか』

「お前はどうすんだ」

『一応受けようかなーって考えてた。そしたら次有利かなと』

「ソラにしては前向きな考えだな」

怠いがいつかは受けないといけないし…。
勿論一回で受かると思ってない。ルーキーは僕らだけみたいだが落ちても年に二度試験はあるしまた次受けられる。
ただ、中忍試験について何も知らない。どんな内容の試験をするのか何一つ知らない。シカマルが何か知らないか聞いたが案の定何も知らなかった。

「俺も受けることにする」

『あ、まだ決めてなかったんだ』

「ああ。ソラが受けんなら大丈夫だろ」

『何がだよ』

コイツ絶対僕を下に見てる。うわあ、ムカつく。
食べ終わり棒だけとなったアイスをゴミ箱に捨てた。未だに当たったことないんだよな…。

「ソラと話して決心した。ありがとな」

『ろくなこと喋ってないけどね』

「中忍なったらなんか奢れよな」

『ゲッ覚えてたんだ』

「そう簡単に忘れねぇっつーの」

『僕が受かったらアイスな!』

「受かったら、な」


帰り道途中まで歩き、また明日!と別れた。




0619(編集日)



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