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愛は僕等を救わない
03


大切な人の為に命を墜とすなら本望だ――




「見事だ…白」

白はカカシ先生の腕を掴んだまま動こうとしない。止まったままだ。死んでるのだろう。瞳孔が開いてる。

「俺はよくよくいい拾いものをしたもんだ!最後の最後までこんな好機を与えてくれるとは!!」

仲間が殺されたというのに躊躇せず背中に背負っている刀に手を掛ける。
白ごとカカシ先生を斬るつもりだ。

間一髪のところで白を抱え避け、貫通した腕を抜いた。地面に白を起き開ききった目を閉じた。
血まみれ…目を開けない。少しも動かない。本当に死んでしまったんだ…。違う形で出会っていれば…もっと話したかった、友達になりたかった。

『ナルト…』

「無事だったのね!サスケ君は?」

サスケの姿が見えない事に気づき問うが何も喋ろうとはしない。

「ナルト!サスケ君はどこなの!!」

一向に黙り込むナルトの表情に僕とサクラちゃんは何かを理解した。

「…ワシも一緒に行こう。そうすれば先生の言いつけを破ったことにはならんじゃろ」

「…うん」

『……』

無言で頷き三人でサスケの元へ向かった。







無数の千本が体中を貫きサスケが倒れていた。首筋や脚にまで刺さっている。

「…冷たい」

横たわるサスケの頬に触れた。

「私…忍の心得を全部覚えてて…いつも得意げにテストの答えを書いてた…。ある日テストでこんな問題が出たの…。"忍の心得第25項を答えよ"って」

サクラちゃんの声が段々鼻声に変わっていく。

「…それでいつものように書いたわ。"忍はどのような状況においても感情を…表に出すべからず。…任務を第一とし何事にも涙を見せぬ心を持つべし"って…」

堪えきれなくなった感情は涙として溢れ出した。

『サスケ…』

もっと仲良くなりたかったな…。最初は苦手だった。だけど七班で一緒に任務をやっていくに連れて見えない優しさに気づいたんだ。

『もう…起きないのかな…』

目頭が熱くなってきた。泣くつもりなんてなかったのに…涙なんか…。

なんだか騒がしくなってきたと思いカカシ先生達を見るとすぐ傍には数えきれない程の人がいた。その前に立つのは黒いスーツを着てサングラスを掛けたおじさん。どうやらあのおじさんがガトーというらしい。
何やら状況が変わったようだ。再不斬は雇主に利用され裏切られた。ガトーは利用した挙句再不斬を殺すつもりのようだ。

「死んじゃってるよコイツ」

ガトーは動かない白の頭を蹴った。

「テメー!何やってんだってばよォコラァ!!」

ナルトが歯向かおうとするがカカシ先生に止められる。

「あいつは…あいつはお前の事が本当に好きだったんだぞ!!それなのに何とも思わねーのかァ!!」

泣きながらナルトは必死に叫ぶ。

「…それ以上は何も言うな……」

再不斬が泣いてる…。
白を失って悲しかったんだ。

「小僧クナイを貸せ!」

カカシ先生との戦いで両腕を負傷し、ナルトの手から投げられたクナイは口に咥えた。もしかして…と思い見ていると再不斬はガトーに向かって斬りかかった。ガトーの首が血を撒き散らしながら飛ぶのが見えた。
…見なきゃよかったとも思ったが逆に見て良かったのかもしれない。
そして再不斬は力尽き、ガトーの集めた大勢の人々の前に倒れた。
…やはり再不斬も死んでしまったのだろうか…。敵なのにこんな気持ちになるなんて…。


「…サクラ…重いぞ…」

先程まで堅く閉ざされていた目が開き、上半身を起こしたサスケがいる。

「サスケ君!わぁああああああ!!」

悲しみから涙を流していたサクラちゃんだったが今は嬉し涙に変わった。
良かった、生きてる。

『あー……泣きそうだったのに!』

「んなっいてーよ!」

ボカボカとサスケの胸元を叩いた。

「(ソラが泣いてるとこ初めて見たな…)」

よく見ると確かにソラの目は赤く潤んでいた。…俺が原因で泣かせてしまったのか。

「…ナルトは…それにお面ヤローはどうした?」

『ナルトは無事だよ。…白は死んだ…』

「死んだって…ナルトがやったのか?」

『違う。再不斬を庇ってカカシ先生が…』

「…そうか」

「私…信じてた。流石サスケ君!致命傷を避けてたのね!」

サクラちゃんがナルトにサスケが無事だと叫ぶと安堵からかナルトの目にまた涙が滲んだ。








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