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愛は僕等を救わない
04




「なんで破れた写真なんか飾ってるんですか?」

サクラちゃんの言葉で初めて壁に掛けてある写真に気付いた。家族三人で写ってるがもう一人居たようでその場所が破られてる。

「なんか写ってた誰かを意図的に破ったって感じよね」

『…本当だ』

「かつて…町の英雄と呼ばれた男じゃ…」

英雄?何故英雄なのに破る?
するとイナリが無言で出て行った。それにツナミさんは声を荒げる。

「イナリの前ではあの人の話はしないでって…いつも…!」

「何か訳ありのようですね」

イナリには血の繋がらない父親がいた。仲が良く本当の親子のようであの頃のイナリは本当によく笑う子だったとタズナさんは話してくれた。
だが、父親の事件以来変わってしまったという。



三年前、イナリは国外から夢を求めてこの島に来た漁師、カイザに溺れてるとこを助けられそれ以来イナリは懐くようになった。まだ物心つかないうちに本当の父親をなくしてしまったせいもあるようでそんなカイザが家族の一員になるのに時間はかからなかった。
その後カイザは酷い雨の中開いてしまった川の堰にロープを掛けに行き、両腕を失いそれと引き換えに町は水害から逃れた。その事でカイザを英雄と呼び、イナリにとって胸を張って誇れる父親だった。
だがガトーが来てカイザは公開処刑されてしまった。「この国の秩序を乱した」と。


『……』

話を聞いた後暫く声が出なかった。そんな酷い事があったなんて知らなかった。
話を訊き終わったナルトが椅子から立ち上がる。

「…証明してやる」

「何を?」

「この俺が…この世に英雄がいるってことを証明してやる!」





修業開始から六日目の朝、僕は今森にいる。ナルトが昨晩から帰って来ないので一応気になって様子を見に来た。ここ最近タズナさんの言葉から毎日修業しているから。
本当単純というか馬鹿というか…。どっかその辺で寝てなきゃいいけど。

「あっソラ!」

『おーナルト』

キョロキョロしてたら先に声を掛けられた。あれ、なんか草摘んでない?それにナルトの隣りに知らない人がいる。誰だろう、綺麗な人だ…。僕より一〜二歳上ってとこかな。

『貴方は…』

「この姉ちゃんとはさっき会ったんだ」

「おはようございます」

『…どうも』

ニコッと笑う彼女はとても綺麗だった。

『二人で何やってたの?』

「彼には薬草取りを手伝ってもらってたんですよ」

『薬草か…僕も手伝おうか?』

「いえ、もう充分取ったので。それではまたどこかで会いましょう」

「うん!」

「あ…それと、」

『?』

「僕は男ですよ」

最後にいきなりカミングアウトして木々の中へ消えて行った。
ナルトも姉ちゃんって言ってたからてっきり女かと…長髪で何より顔立ちが整ってたから。でも綺麗な人だった。

「ンなバカなっ!サクラちゃんより可愛いのにィー!?」

『何気酷い事言ってる…』

サクラちゃんに失礼だろそれは。確かにさっきの人は綺麗だったけど。

彼と入れ違いにサスケが来た。どうやらサスケも修業しに来たらしい。





翌日。
朝ご飯も食べずまたナルトとサスケは修業しに森へ行った為今度はカカシ先生とサクラちゃんと僕で呼びに来た。

『うーん眠い…』

「しっかりしなさいよ」

今朝サクラちゃんに無理矢理起こされ引き摺られる形で来たもんだから体中痛いしとても眠い。もう立ったまま寝れそう…。
僕達の足下に一本のクナイが地面に刺さった。上を見上げるとボロボロのナルトが得意気に枝に居た。あんなとこまで登れるようになったんだ。

「俺ってばこんなとこまで…登れるようになったってばよ!」

『凄い…』

先程まで眠かったのに一気に目が覚めた。
枝の上に立とうとしたナルトがバランスを崩し落下しそうになった。

「うわぁ!!」

「キャー!!」

落ちる、と思ったが悪戯で、しっかり枝に吸着しぶら下がっていた。

「ひっかかった!ひっかかった!」

『(心配して損した…)』

今のは本気で心配したのに…まぁナルトならあの高さから落ちても死なないか。
軽視してると今度は冗談ではなく枝から足が離れ本当に落ちそうになった。

「ぎゃああぁああ!!」

「このウスラトンカチが…」

落ちそうになったが寸でのでサスケがナルトの足首を掴む。
サスケも負けず劣らず上達したんだ。

「(こいつらよく成長してやがる…)」








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