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愛は僕等を救わない
03



「ふぁ〜」

隣りで両手を空へ伸ばし欠伸をするサクラちゃんを見て大きい欠伸だなぁと連られて僕も口に手を当て欠伸する。
ああ暇だ、暇すぎる。暇は良い事だが何時間も座って見てるだけってのは…そのせいでお尻が痛い。あと眠い。いつもだが今日は特に眠い気がする。

「あの金髪小僧とすかした小僧はどうした?」

それはナルトとサスケの事か。まだ木登りしてんだろうな、僕のアドバイスでタメになったらいいけど。

『修業中』

「お前達はいいのか?」

「私達は優秀だからカカシ先生がおじさんの護衛をしろって!」

「本当か…?」


本当です、とも言えない。僕からしたら人より早く物事をこなすなんて滅多にない。

疑うのも無理ないが明らかにこんな弱そうな子供で大丈夫かよとか思ってるなあの顔は。
確かにいつまた再不斬が襲って来るのか分らないのに僕とサクラちゃん二人だけで護衛してるんだから。内心不安ばかりだ。けど敵もまだ回復してないだろうしカカシ先生が言ってた事だから信じとく。
お腹鳴りそう、もうお昼時かなお腹空いたしあー眠くなってきた…。最近天気良いからなぁ。


「ここらでやめにしねーか…橋作りも…」

「そーはいかねーよ」

あれ、修羅場?
うとうとしてたらいつの間に…タズナさんと一緒に作業していたおじさんが口論してる。終いには来なくていいなんて言ってしまった。





作業も一段落し頼まれてたお昼ご飯の材料を買いに町に来たはいいが物凄く治安が悪い。窃盗なんて当たり前。仕事が無く道端に座ってる大人も結構居る。

「おお、ここじゃ」

着いたのは看板が掲げられた八百屋。店の前には行く場所が無いのか子供が座ってる。かと思えば服を引っ張られ振り向くと先程よりも小さい子供が何か欲しそうに両手を差し出す。最初訳が分からず首を傾げたがポケットの中に手を突っ込み探るとたまたまあった飴をあげた。それに満足したのか子供は嬉しそうにどこかへ駆けて行く。
…なんて町だ、こんな人々がざらにいる。八百屋の中は品物が少なく客も殆どいなかった。
みんなお金無くて買えないんだ…。

「キャー!」

『えっ』

何かとサクラちゃんの方を向いたら痴漢と騒ぎながら見知らぬおじさんを蹴り飛ばしてた。

『ビックリしたー…』

「私の方がビックリしたわよ!一体この町どーなってんの?」

「ガトーが来てからこのざまじゃ」

これもアイツのせい…。名前は美味しそうなのに。顔見てみたい。

「勇気の象徴…無抵抗を決め込んだ国の人々にもう一度"逃げない"精神を取り戻させる為に。あの橋さえ出来れば…」

あの頃にみんな戻ってくれる、そう信じてタズナさんが橋を作る理由。





『………』

買って来た材料でツナミさんがご飯を作ってくれた。それは良いんだ、久々に食べる手作りの料理は温かくて凄く美味しいし文句の付けようがないんだけど…。ガツガツ食べるナルトとサスケを見て唖然とする。二人は食べる手を休めず動かし続ける。

「「おかわり!」」

おお、同時に言った。
もうとっくにお腹いっぱいな筈なのにまだ食べるのか…。どこに入るのかと思えば案の定二人とも吐いた。勿論食べ過ぎで。

「吐くんなら食べるのやめなさいよ!」

『そうだよ。修業で疲れたのは分かるけど幾ら何でも食べ過ぎ…』

「…いや、食う!」

「我慢してでも食わなきゃ早く強くなんなきゃなんねーんだから」

ナルト涙目になってる…吐いちゃ意味無いよ…。見てたら食欲失せてきた。二人にあげよう。

『僕の二人で食べて』

「いいのか?」

『うん。(二人のせいで)お腹いっぱいなんだ』

「少食なんだな!」

いや普段はもっと食べるけどね。特にお菓子。

『少し口付けちゃったけどいいなら…』

「全然いいってばよ!」

皿を受け取るとまたがっついた。良い食べっぷり。








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