愛は僕等を救わない
06
あの頃を思い出し楽しかったなんて呟く再不斬に痛い程の殺気と狂気を感じた。
「!!!」
サスケ君が地面へ叩き付けられた。あまりの衝撃に吐血する。
「死ね」
倒れているサスケ君を容赦無く踏みつける。
見てるだけなんて、嫌だ!
『サスケ!』
再不斬に向かってクナイを数本投げた。容易く躱されたがその隙に走り出す。
『…このっ!』
思いっきり足を降り下げた筈なのに平然と片手で受け止めやがった。
「…良い蹴りだ。だが、弱い!」
ガッ
蹴飛ばされ大木に背中を打ちつけた。
『うっ…』
痛い。何もできないなんて…。
薄れていく意識の中僕を呼ぶ声が聞こえ、返事をしようとしたがそこで意識を手放した。
「オイ、大丈夫か!」
「ソラ!」
『……ん…』
名前を呼ぶ声に目が覚めた。
「良かった、意識戻ったのね!」
目の前には心配した様子の皆の姿が。どうやら戦いは終わったみたいだ。横たわる再不斬に勝ったのだと理解する。だがその傍に見慣れない姿が一つ。
『あれ、お面の人は…』
頭の上にハテナマークを浮かべるとカカシ先生が霧隠れの追い忍だと教えてくれた。あの人が再不斬にトドメを刺した事も。
「…それじゃ、失礼します」
死体を処理すると告げ、再不斬と共に消えた。
「…立てるか?」
『あ、うん』
立とうとすると鈍い痛みが全身を駆ける。
『…ったぁ』
あの時頭打ったからだ、頭がガンガンする痛い。それに背中までも。骨は折れてないみたいだけどこれじゃ歩けないな…。
「…背中乗れ」
『……え』
それはつまり僕をおぶってく、と。
「正面に歩けないだろ」
確かにそうだけどサスケ君の方が吐血してたし危ないような…。
『いやいや大丈夫です歩けます』
歩いてみたらサスケ君の方によろけてしまった。またあの痛みが駆ける。これじゃ歩けそうにない…。
「……プッ」
『わ、笑った!』
笑ったとこ初めてみた。いっつもしかめっ面だったから。同時に恥ずかしさが込み上げてきた。
「無理すんな。素直にお前は言う事聞け」
『…分かった。今日だけ甘える事にする』
恥ずかしかったがなんとか乗り肩に手を掛ける。
温かい…サスケ君の背中って心地好い。
『いっつも笑ってればいいのに』
「馬鹿いうな。気持ち悪ぃじゃねーか」
確かに。いつも笑顔のサスケ君を想像して頷いてしまった。けど時々見せる笑顔がいい。
さー、タズナさんを家まで連れていこー!
というのに何の前振りもなく突然カカシ先生が倒れた。
「なに!?どうしたの!?」
写輪眼を使いすぎてもう体が動かないらしい。
僕が気絶していた間写輪眼使って頑張ってたみたいだ。サスケ君とナルトも。二人がカカシ先生をあの水の中から助けたっていうし凄いや。
カカシ先生の事はタズナさんとナルトとサクラちゃんに抱えてもらい目的地へ歩く。
「なぁ…お前」
『なに?』
「再不斬と闘やってる時、俺の名前…」
『……あ』
名前…そういえばサスケ君の事呼び捨てしたような…いや、したな。呼び捨て拙かった?君付けした方が良かったのか。
『あえーとサスケ君』
「…サスケ」
『……?』
「呼び捨てでいい。お前に君付けで呼ばれると気持ち悪い」
『酷い…んじゃ遠慮なくそう呼ばせて頂くから。んでサスケ』
「なんだ」
『僕の事もお前じゃなくて名前で呼んで』
「考えとく」
『つれないな』
流石にいつまでもお前って呼ばれるのは嫌だ。折角同じ班ななったんだしせめて名前だけは…。何の為に親が付けた名前だと思ってるんだ。
「まだ着かねぇし寝てろ」
『うん寝る…』
先程まで気絶してたのにここにきて眠気があり意外とあっさり眠る事ができた。
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