愛は僕等を救わない
04
「そろそろ橋が見える。その橋沿いに行くと波の国がある」
案内役のおじさんが教えてくれた。僕達は小さい船に乗せられ波の国に向かっている。
凄い霧だ、全く前が見えない。その霧の中から見えたのは大きな造りかけの橋。それを見て興奮したナルトが声を上げたら案内役のおじさんに注意され慌てて口を両手で塞ぐ。
ガトーに見つかったら大変な事になる、と。
わざわざこの霧に隠れエンジン切って手こぎで船を出したのも全てはガトーに見つからない為。
船に乗る前、タズナさんが「話したい事がある」と依頼内容について説明した。
タズナさんの命を狙っているのは海運会社の大富豪、ガトーという男。
表向きは海運会社として活動しているが裏ではギャングや忍を使い麻薬や禁制品の密売、果ては企業や国の乗っ取りといった悪どい商売を生業としている。
そんな奴が一年前波の国に目をつけ、財力と暴力をタテに入り込んできた奴はあっという間に島全ての海上交通、運搬を牛耳ってしまったという。
島国国家の要である交通を独占し今や富の全てを独占する。そんなガトーが唯一恐れているのが予てから建設中のあの橋だ。
それで橋を造るタズナさんが邪魔になり命を狙われると。襲ってきた忍者はガトーの手の者の可能性が高い。
僕も理解しようと話を訊いていたが正直全く話の内容が分からなかった。
ガトーってガトーショコラみたいだなぁとしか…。
「ソラ、何話してんのか分かったか?」
『わっかんね』
それはナルトも一緒で安心した。一応真面目に相槌を打って訊いてるふりはした。
話についていけないと分かった僕に後からサクラちゃんが簡単に説明してくれた。
んで、何故それを隠して依頼したのかというと波の国は貧しい国で大名すらお金を持っていなく…勿論タズナさんもお金がなく、高額なBランク以上の依頼はできなかったと。
「まあ…お前らがこの任務をやめればワシは確実に殺されるじゃろう…」
ワシが死んでも十歳になる可愛い孫が一日中泣くだけとかそれに娘も木ノ葉の忍者を一生恨んで寂しく生きていくだけ、と長々言われた結果カカシ先生が折れた。
「仕方ないですね。国へ帰る間だけでも護衛を続けましょう!」
『(絶対あのおっさんよっしゃとか思ってるよ)』
というわけで護衛任務は続行する事になった。
カカシ先生は国に帰るまでと言ってたがなんだかんだで最後まで護衛してしまいそうな気がする。
「よーしィ!ワシを家まで無事送り届けてくれよ」
「はいはい」
船を降り向かうはタズナさんの家。カカシ先生はヤル気の無い返事をする。
途中また忍者が襲って来るのか…気が重いなと思ってたらナルトが突然手裏剣を草むらに向かって投げた。
「フ…なんだネズミか」
『え、ネズミいたんだ』
「嘘に決まってるじゃない!そんなとこ初めから何もいやしないわよ!」
「頼むからお前がやたらめったら手裏剣使うな…マジで危ない!!」
だが懲りずナルトはまた手裏剣を投げた。
投げた場所にはなんとユキウサギが気絶していた。
『可哀相に…』
「なんてことすんのよォ!」
「そんなつもりは…ゴメンようさこう!」
災難だったなユキウサギ…。
「全員ふせろ!!」
『え、』
「ソラ!」
カカシ先生の声から少し遅れて巨大な刀らしき物が上から回転し降ってきた。
『あっぶなー…』
サスケ君が僕の手を引いてなかったら間違いなく当たってた。
『ありがと…』
「ボケッとすんな」
『…ごめん』
情けない。
相手は容赦なく本当に殺しにきてるんだと思いしった。
「霧隠れの抜け忍、桃地再不斬君じゃないですか」
知り合い?んなわけないか。巨大な刀は木に刺さり、その刀の上にいつの間にか口元を包帯で覆った男性が立っていた。
「写輪眼のカカシと見受ける。…悪いがじじいを渡してもらおうか」
写輪眼?どこかで訊いたような訊かなかったような…。
「お前達は戦いには加わるな。それがここでのチームワークだ」
額当てに手を掛け、グッと上げた。そこに見えたのは奇怪な目。
「…再不斬、まずは…俺と戦え」
所謂、瞳術の使い手は全ての幻、体、忍術を瞬時に見通し跳ね返してしまう眼力を持つという。
写輪眼とはその瞳術使いが特有に備えもつ瞳の種類の一つ。
これが、写輪眼。
前に見た本に載ってた。その時は少ししか見なかったが。だが写輪眼はうちは一族の中でも一部の家系にだけ表れる特異体質の筈…。何故カカシ先生が写輪眼を持っているのか分らない。
再不斬によるとカカシ先生は千以上の術をコピーし、"コピー忍者のカカシ"と呼ばれているらしい。
僕の隣りにはそんな凄い忍者が立っている。
そう思うと恐れ多い。
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