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愛は僕等を救わない
03



(早く動かなくちゃ)

頭ではそう思っているのに身体が、足が動かない。

そこにサスケ君が先程カカシ先生が引き裂かれた敵の鎖を動かせないよう、木へクナイと手裏剣を刺し固定し敵を蹴った。

内心そんなサスケ君を感心しながらやっと僕はタズナさんの元へ駆け寄る。

『動かないで下さいね』

「ソラ!」

サクラちゃんがこっちに向かって走り出した時、その後に一つの影が見えた。

『危ないっ!』

庇おうとしたが素早くサスケ君が前に飛び出した。
が、カカシ先生が敵二人を捕まえた。
先程のは変わり身の術を使っていたらしい。肉片が散った所は今は木が落ちている。上忍があっさり死ぬわけないかか…。

「すぐに助けてやらなくて悪かったな。取り敢えずサスケ、よくやった。サクラとソラもな」

褒められるのは嬉しいが実際褒められるほど動けたわけじゃない。初めて敵を見た時全く足が動かなかった。それに比べサスケ君は戸惑わず素早く動いてた。いや、僕とサスケ君を比較する点で間違ってるか。でもそこんところ見習わなくちゃ。
手の甲から血が出ているナルトを見つけ近寄った。

『大丈夫…じゃなさそうだな』

先程の実戦で切られたという。カカシ先生が言うにはあの人らの爪には毒が塗ってあり早く毒ぬきをしなくてはいけない。

「大丈夫だってばよ。これくらいなんともねぇ!」

『…ならいいけど』

「怪我はねーかよビビリ君」

『……』

黙ってれば良いものを…やっぱ見習うのやめよう。それにしても自分から喧嘩吹っ掛けるなんて珍しい。

「喧嘩はあとだ」

カカシ先生は襲って来た敵二人を縄で堅く縛った。

「こいつら霧隠れの中忍ってとこか…」

霧隠れの額当てをしてる。中忍だとするとイルカ先生と同じだ。
でも目付き悪くて怖い。

「…何故我々の動きを見きれた」

片方の目付き悪い人が喋った。それ僕も気になる。どこから現れたのか全く分らない。

「数日雨も降ってない今日みたいな晴れの日に水溜まりなんてないでしょ」

あの水溜まりだったんだ!怪しいとも思わなかった。

『水溜まりだって気付いてた?』

「そんなの気づくわけないじゃない」

やっぱり。気づいてたのは先生くらいだ。危うく僕はあの水溜まりを踏むところだった。避けといて良かった。

「知ってて何でガキにやらせた?」

「知る必要があったのですよ…この敵のターゲットが誰であるのかを」

「どういう事だ?」

「つまり、狙われているのはあなたなのかそれとも我々忍のうちの誰かなのか…という事です」

僕達が霧隠れの忍者に狙われる理由は無いと思うが。だがタズナさんが狙われる理由も分らない。

「依頼内容はギャングや盗賊等ただの武装集団からの護衛だった筈…これだとBランク以上の任務だ」

「………」

タズナさんは重苦しい表情をし黙り込む。

「何か訳ありみたいですが依頼で嘘をつかれると困ります。これだと我々の任務外って事になりますね」

「この任務はまだ私達には早いわ…やめましょ!ナルトの傷口を開いて毒血を抜くにも麻酔が要るし、里に帰って医者に見せないと…」

「んー……ナルトの治療ついでに里へ戻るか」

その言葉に反応したナルトはなんと傷口のある自分の手の甲をクナイで刺した。

『ナルト!?』

「何やってんのよアンタ!!」

血がダラダラと手の甲から流れ地面へと落ちる。

「オッサンは守る。任務続行だ!」

「景気よく毒血を抜くのはいいが…それ以上は…出血多量で死ぬぞ」

『笑顔で何言ってんだ』

「それダメ!こんなんで死ねるかってばよ!!」

血が止まる事なく沢山出てる。自分で深く傷付けたんだ、当たり前か。ああもう見てるだけなのに僕まで痛い。

『手出して』

鞄から包帯を取り出し手際良く巻いていく。

『……』

あれ、おかしい。傷口が塞がりかけて…。

「ソラ?俺ってば大丈夫?」

『あ?あー、』

「…ま、大丈夫だろ」

隣りで見ていたカカシ先生が言う。
カカシ先生は知っているのか?傷口の治りが異常に早い理由を。








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