愛は僕等を救わない
02
「目標との距離は?」
「5m!いつでもいけるってばよ!」
「俺もいいぜ」
「私も」
『僕も大丈夫』
「よし!やれ」
合図と共に木影から飛び出し一斉に駆け出した。
見事ナルトが目標の猫を捕まえた。無線でサスケ君がカカシ先生と連絡を取る。
『右耳にリボン…』
「ターゲットに間違いない」
「終了!」
今回の任務は迷子のペット「トラ」の捕獲。この任務も一度逃したがあっさりと終わった。
「私の可愛いトラちゃん、死ぬほど心配したのよォ〜」
『………』
依頼主はトラを見ると頬を擦り寄せた。トラは嫌がってる様に見える。飼い主があれじゃ逃げ出したくなるのも分かるな。
「さて、カカシ隊第七班次の任務はと…老中様のぼっちゃんの子守りに隣り町までのおつかい、芋掘りの手伝いか…」
火影様が言う任務は楽そうなのばかり。
おっ次のも簡単そー。芋掘りいいな、掘った後焼芋にして食べたい。それか作るの面倒だがスイートポテト!
「そんなのノーサンキュー!!俺ってばもっとスゲェー任務がやりてーの!」
『(余計な事を…)』
僕は今のままでいいのに。早ければ午前か午後のどちらかで終わるし楽だし…。面白みに欠けるがまだ僕達は下忍、Dランクの任務が一番合ってる。
尚も駄々をこねるナルトに今度はイルカ先生までも説教する。が中々ナルトも食い下がらない。
「俺ってばもう…いつまでもじいちゃんが思ってるようなイタズラ小僧じゃねェんだぞ!」
「分かった」
え?分かった?嘘だろオイ。僕は嫌だ。
「お前がそこまで言うならCランクの任務をやってもらう」
Cランクか…下忍になりたての僕達に任せていいのか不安だ。
その任務はある人物の護衛だという。
…めんどいのになった。
「だれ?だれ?大名様!?それともお姫様!?」
嬉しそうにワクワクしながらナルトが言うから期待していれば入って来たのは「超」が口癖で口の悪い酒臭いおじさんだった。
期待して損した。この人を誰が襲うんだよ。借金取りなら頷けるが襲っても何の利益にもならないって。
「超ガキばっかじゃねーかよ!」
酒瓶持ってる…ほんのり顔も赤い。だから酒臭かったのか。
「そこの一番ちっこい超アホ面。お前それ本当に忍者かぁ!?」
「誰だ一番ちっこいアホ面って…」
周りを見て僕に目を止める。この中で僕が一番小さいと思ってるのか。確かに僕はサスケ君やサクラちゃんよりは低いかもしれないが、
『僕ナルトより身長高いや』
「!」
今更気付いたのか依頼主に飛び掛かろうとするのをカカシ先生が止めた。
おじさんはタズナさんといって橋作りの名人だとか。
依頼はタズナさんが国に帰って橋を完成させるまでの間、護衛するというもの。
「出発ーっ!!」
ナルトは何故かヤル気満々。理由を訊いたら一度も里の外に出た事がないからと教えてくれた。
そういえば僕も無いかも…。
「本当にこんなガキで大丈夫なのかよォ!」
「上忍の私がついてます。そう心配いりませんよ…」
「コラじじい!俺ってばスゲーんだからなぁ!いずれ火影の名を語る超エリート忍者!…名をうずまきナルトという。覚えとけ!」
「お前みたいのがなれるとは思えんが」
「だーうっさい!!」
またタズナさんに飛び掛かろうとするのをカカシ先生が止めた。
暫く歩くとサクラちゃんが口を開く。
「ねぇタズナさんの国って"波の国"でしょ」
「それがどうした」
「カカシ先生…その国にも忍者っているの?」
「文化や風習こそ違うが隠れ里が存在し忍者がいる」
火影、水影、雷影、風影、土影の所謂「五影」は全世界、各国何万の忍者の頂点に君臨する忍者達だ、とカカシ先生が分かりやすく説明してくれた。
『へー火影様って凄いんだ』
全然そうには見えなかったが。僕にはどこにでもいるごく普通のおじいちゃんに見えた。
「ソラ、今火影様疑ったろ」
『まさか』
えなんで僕だけ?棒読みだったかな。サクラちゃんに視線を向けたらサッと逸らされた。
「ま…安心しろ。Cランクの任務で忍者対決なんてしやしないよ」
ポンと手を僕の頭に置き撫でた。なんか懐かしい。
あっ水溜まりがある。
踏まないよう避けた。
その時だった。
「一匹目」
聞き覚えのない声が聞こえ振り向くと一番後を歩くカカシ先生に長い鎖の様な物が全身に巻き付き一瞬で引き裂かれた。
血が飛び散り肉片が地面へと落ちる。
それがスローモーションの様に僕にはゆっくりと見えた。
「カカシ先生ェ!!」
先生を呼ぶナルトの声もどこか遠くに感じる。
「二匹目」
次の狙いはナルトか。既にナルトの背後に二人いた。
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