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愛は僕等を救わない
04





ジリリリリリ

セットした目覚し時計が終わりだと告げる様に鳴り響く。

『(やった終わった)』

は良いが、鈴奪えなかったから失格…になるのか。
目覚し時計を置いた丸太の所に戻ると既にサスケ君とサクラちゃんは座っていてナルトが丸太に縛りつけられていた。その前には弁当が置いてある。

「この演習についてだが、お前らは忍者学校に戻る必要もないな」

「ってことは四人とも…」

ナルトは嬉しそうに足をバタつかせている。
鈴奪えなかったのに合格?有り得ない。そしたら誰でも受かるじゃないか。

「四人とも…忍者をやめろ!」

その言葉に驚愕した。みんな狼狽した様子を見せる。

「忍者やめろってどーゆーことだよォ!!」

ナルトの言う通りだ。確かに鈴を取れなかったが何もそこまで言わなくとも…。

「どいつもこいつも忍者になる資格もねェガキだってことだよ」

ダッ

サスケ君がカカシ先生に向かって走り出したがカカシ先生に頭を踏み付けられた。

「だからガキだってんだ。お前ら忍者なめてんのか、あ!?」

眼光が鋭く今のカカシ先生は先程とは違って迫力があり酷く怖い。

「何の為に班ごとのチームに分けて演習やってると思ってる。この試験の答えを理解したのはソラだけだ」

僕だけ?
ああ、チームワークの事か。

「なんでソラだけなんだよ!答えって何なんだってばよォ!?」

「それは、チームワークだ」

「四人で必死に鈴取ったとして一人我慢しなきゃなんないなんてチームワークどころか仲間割れよ!」

「当たり前だ!これはわざと仲間割れするよう仕組んだ試験だ」

この仕組まれた試験内容の状況下でも尚自分の利害に関係なくチームワークを優先できる者を選抜するのが目的だという。

「それなのにお前らときたら…」

サクラは目の前のナルトじゃなくどこに居るのかも分らないサスケのことばかり。ナルトは一人で独走するだけ。サスケは三人を足手まといだと決めつけ個人プレイ。

「誰もソラの誘いを受け入れない」

「あ…」と思い出した様にサクラちゃんとナルトが僕を見て申し訳なさそうな表情をする。

「チームワークを乱す個人プレイは仲間を危機に落とし入れ殺すことになる」

例えば、とカカシ先生はサクラちゃんに僕とナルトを殺す様に言う。さもないとサスケ君にクナイを向け死ぬぞ、と。
サスケ君から手を放した。

「最後にもう一度だけチャンスをやる」

挑戦したい者だけ弁当を食べ、昼からはもっと過酷な鈴取り合戦だと言う。
但し、ナルトには弁当を食べさせるなと。ルールを破って一人弁当を食べようとしたバツらしい。もし食べさせたらその時点でその者を試験失格にするとの事。

「ここでは俺がルールだ。分かったな」

そしてカカシ先生はどこかに消えた。
こわー…最後が一番怖かった。

「へっ!俺ってば別にメシなんか食わなくたってへーきだっ…」

ぎゅるるるる

ナルトの腹の虫が鳴った。朝から何も食べてないんだ、相当お腹空いてる筈。

『…ナルト。僕の弁当あげる』

「いいのか?ソラの…」

『うん。僕食べてきたから』

「でもそんな事したらソラがカカシ先生に…」

『大丈夫。それに今カカシ先生いないし』

「ちょっとソラ!」

「ホラよ」

サスケ君も弁当を差し出す。

「サスケ君まで…さっき先生が!」

「今アイツの気配はない。足手まといになられちゃこっちが困るからな」

サクラちゃんも意を決したらしくナルトに弁当を差し出した。

「ありがと…」

縛りつけられてるから食べられないな…解いていいのかと考えているとカカシ先生の声が聞こえる。

「お前らあぁあ!!」

「!」

『!?』

「うわぁああ!!」

「きゃああああ!!」

突然物凄い煙がたち込めた。
今度こそ失格…忍者学校に戻るのか…。嫌だなぁ…。

「ごーかっく」

予想外の言葉に驚きを隠せないでいた。何故今ので合格なのか全く分らない。

「忍者の世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる。…けどな!仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ」

不覚にも少し格好いいと思った。ほんの少しだけ。

「これにて演習終わり。全員合格!」

喜びの声を上げ、帰り始める。
(途中ナルトを丸太に縛りつけたままなのを思い出して慌てて引き返した)



…さっきから気になってたんだけどサスケ君が少し離れた所を歩いてる。たまーに帰り道で見掛けてたがまさか家は同じ方向なのか?
話し掛けたいけど話し掛け難い…一度あんな事を言われたんだ、関わらない方がいいかな…。

「ソラ」

サスケ君に突然名前を呼ばれビビりながらも顔を向けた。


「…悪かったな」

『何の事?』

「昨日話しかけるななんて」

『ああ、』

まさか謝るなんて思ってもみなかったから内心凄く驚いた。

『てっきり嫌われてんのかと思った』

本当の事に苦笑する。

「…嫌いじゃない」

嫌いじゃない――か、なんだろう、好きと言われたわけじゃないがその一言が酷く嬉しかった。昼間までは嫌いだとまで思ってたのに。


『僕も嫌いじゃない』


なんとも曖昧な答えだがその曖昧さにハマっていく。

(どうしたんだろう。心臓がやけに煩い)




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あきゅろす。
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