愛は僕等を救わない
03
『ナルトどこだよー』
サクラちゃんとはあの後別れ今僕は歩きながらナルトを捜している。
広いなこの演習場…。
『どこだー』
確かこの辺だった気が…ちがかったかなぁ。いるなら何か叫んでほしい。返事しろっての。
あ、見つけた。
ただ、普通と違うのは…
『何やってんの?』
「引っ掛かったんだってばよ!」
片足首に縄が結ばれ木の枝にぶら下がっていた。
カカシ先生の仕掛けた罠か…罠も仕掛けてるなんて此所も危険だな…。ろくに気抜いて歩けもしない。
『ちょっと待ってて』
ザクッ
クナイを握り縄を切った。
「いてっ!」
『あ、ごめん』
何も言わず突然切った為受け身をとれず頭から落ちた。あんま高くなかったからいっか。
「ありがとう、助かったてばよ!」
『んでお願いがあるんだ』
「なんだ?」
『一緒に鈴取ってほしいな、と』
「ソラの頼みでもそれはできないってばよ」
『そう、だよね…』
なんとなく分かってた。ナルトなら一人でカカシ先生に挑む。先程と同じ様に。やられるのは目に見えてるが口には出さない。
また一人か。
僕一人で鈴取れるわけもないしましてや大人…。
「―――っ!!!」
『……?』
あれ、今なんかサクラちゃんの声が聞こえた様な…。
気のせいだといいけど…無事である事を願う。
二人とも断られちゃったし残るは…サスケ君か。
少し歩くと木々が無くなり地面が露になる。そしてそこには見覚えのある顔が地面から出ていた。
『………』
サスケ君だよな?なんで地面に埋まって…生首状態だ。反応に困る。
近くにはサクラちゃんが倒れてる。やっぱりさっきの声はサクラちゃんだったのか。
『……』
スルーしたい気もあるが…。見といてスルーはできない。無言でクナイに手を掛けた。
『……』
「おい」
『気にしないで。僕が助けたくてやってるんだから』
堅い土だなとクナイでガッと掘り、柔らかくなると手で掘った。
暫く掘ると「後はいい」と言ってサスケ君が自分の力で地面から出た。
『あの、さ』
よし、今しかない言うんだ自分!勇気を出してせーのっ
「あ?」
『えっと…その…どう?鈴取れそう?』
違う事訊いちゃった…。あー…僕の根性無し。
「さっきは触れた。次なら取れる」
『すご…』
「ソラはどうだ?」
『全然だよ』
なんて言うが僕なんてまだカカシ先生に会ってもいない。
『一緒に協力して鈴取らない…よな…』
「当たり前だ」
『やっぱり…はは…』
これで全員撃沈!
三人に振られるなんて悲しい…。滅多にないよこんなの。苦笑いしかできない。
ウジウジしても仕方ない。12時になるまでどっか木の上で寝てよう、上ならバレにくいだろうし、うんそうしよう。
木に登ろうと足を掛けた時だった。
『………』
背中に気配を感じる。いや、感じたくないよ?感じたくないけど物凄く感じる。これは絶対後ろにいる。
『カカシ先生…』
「よく分かったなソラ」
『いや分かりたくなかったけど分からずおえないというか』
「そこまで言わなくても…。なんで鈴取りに来ないんだ?」
『僕一人じゃ取れないから今からどうしようかと考えて…』
「寝ようとしてなかった?」
『ま、まさかっ』
バレてる…!読心術使ってるのか?
「それじゃ演習になんないでしょーよ」
『そんな事言ったって一人でなんて無理。この演習はチームワークが必要なんだろ?』
「いつから気付いてた?」
『んー…最初から?』
そんなの覚えてないや。
『でもみんなに振られたから協力できないけど』
だから潔く諦めて寝ようとしていた。
「ソラ一人でいいから鈴、奪いにこい」
『(嫌です、なんて言えたら…)』
勿論言える筈もなくホルスターからクナイを取り出す。
「それじゃ、お手並み拝見とするか」
『しなくていいのに…』
いつでもこいとまたどこからかイチャイチャパラダイスなる本を取り出し読書に没頭し始める。
『はぁ…』
溜め息しか出ない。馬鹿にされてる。
…いくか。どうせまだ時間になんないんだし。
気が乗らないまま走り出した。
『…っ!』
素早くクナイを握り締め攻撃を繰り出すが全く当たらない。軽々と避け、腕一本で返され体勢を崩してしまう。
「おっと、」
地面に手をつきカカシ先生の顔に向かって蹴りを入れたがまた避けられた。掠りもしない。その際至近距離でクナイを投げたら頬を掠った。
「やるな」
パタンと本を閉じた。
掠っただけ。これじゃ鈴取れない。触れもしない。
ちょっとくらい手加減しても良いと思うんだけど…。
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