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愛は僕等を救わない
02





カカシ先生はというと、集合時間のなんと約五時間後に悪びれた様子も無く来やがった。

「やー諸君おはよう!」

「「おっそーい!!!」」

見事にナルトとサクラちゃんがハモった。

ごめんごめんと全く心の籠っていない軽い謝罪をし、目覚し時計を取り出すと12時にセットし丸太の上に置いた。
そしてチリン、と三つの鈴を僕達に見せる。

「これを俺から昼までに奪い取る事が課題だ」

奪えなかったら昼食抜き。しかも目覚し時計の置いてある丸太に縛りつけた上に目の前でカカシ先生が弁当を食べるとの事。(朝食抜けってこの事だったのか)

絶対Sだ…ドがつくドSだ。

鈴は三つ。四人だから一人は自然と丸太行きか…。朝食食べてきて良かった。
いやいや、鈴を取れないと任務失敗って事で失格になり一人は学校に戻らなくてはならない。卒業したばかりなのにそんなの絶対嫌だ。

「手裏剣も使ってもいいぞ。俺を殺すつもりで来ないと取れないからな」

当たり前だ。相手は上忍、遠慮なく全力でいかせて頂きます。それはもう殺す勢いで。

「危ないわよ先生!」

サクラちゃん優しい…五時間も遅刻した人の心配するなんて。

「そうそう!黒板消しもよけれねーほどドンくせーのにィ!!」

『(確かに…)』

昨日のことを思い出すと本当に上忍かと疑ってしまう。

「ま…ドベはほっといてよーいスタートの合図で」


ドベと呼ばれ怒ったナルトはホルスターからクナイを取り出し構えたが、気付いたらカカシ先生がナルトの後ろにいてクナイを持つナルトの手を掴んでいた。
速くて全く目がついていけず分からなかった。これが上忍…子供と大人の差。

「そう慌てんなよ。まだスタートは言ってないだろ。…じゃ始めるぞ!よーい…スタート!!」

その声に素早く葉が生い茂る枝に身を隠す。丁度此所からカカシ先生の姿を確認できる。
傍にはサクラちゃんもいる。サスケ君は…木に登って上から見ているみたいだ。ナルトは…

「しょーぶったらしょーぶ!!」

隠れてない。尋常に勝負とか言ってるが先生呆れてる。
うーん、暫く対峙した二人を見ていようか。面白そうだし。

何が始まるんだろうと好奇心があったが取り出したのは表紙に「イチャイチャパラダイス」と記された本。
所謂大人の本ってヤツか。演習中に何読んでんだか…。

だが本を読んで見えない筈なのに余裕そうにナルトの蹴りや拳を躱し、また後ろを取る。

「あれって…虎の印!?」

『虎の印?』

カカシ先生は見た事あるようなないような分らない構えをしているとサクラちゃんが教えてくれた。火遁の…なんだか凄い忍術らしい。

「ナルトー!早く逃げなさいって!アンタ死ぬわよォ!!」

カカシ先生に居場所がバレてしまうのにも関わらずサクラちゃんが叫んだが時既に遅し。

「木ノ葉隠れ秘伝体術奥義!千年殺し〜っ!!」

『………』

ナルトの物凄い悲痛の叫びと共に泉に落ちた。

『ちがかったな…』

「…ただのカンチョウじゃない」

ぎゅるるるる

『……』

今のってお腹の音?僕じゃないよ、ちゃんと食べてきたし…。チラッと横をみた。

「…ダイエット中で昨日の夜から何も食べてないのよ」

『…僕朝ご飯食べてきた』

ダイエットなんてしなくても今のままで充分いいのに。


話してる間にもナルトが影分身をし、カカシ先生に襲いかかったが結果失敗に終わった。
やはり先生の方が一枚どころかかなりの上手。

一人で鈴を奪うのは無理だとして、ならみんなで協力して鈴を奪うしかない。

『ってわけでサクラちゃん』

「どーいうわけよ」

『一緒に鈴取ろう』

サクラちゃんなら協力してくれるに違いない。何故か心の中で確信していた。

「ごめんソラ。サスケ君の所に行かないと」

『あーそっか、』

確信していたからこそ断られた時のダメージはとても大きい。

何がそっか、だよ僕の馬鹿。
こうなりゃナルト誘ってみるか…。








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