愛は僕等を救わない
01
プリントによると集合場所は演習場で時間は朝の5時だった。しかも朝食抜き。有り得ない…勿論僕はしっかり食べてきたが。カカシ先生は吐くと言ってたがまぁ…お腹空くし仕方ない。
それともう一つ有り得ないのは今既に5時過ぎたのだが演習場には誰もいない。これでも遅く出たのにどういう事か誰か説明してほしい…。折角早起きしたというのに!こういう事ならもっと寝るんだった。
『ふあぁ…』
欠伸が出た。無理もないか、朝早かったし…寝ようかな。
大きな木の根本に腰を降ろし身体を預ける。丁度良い日陰と木々から射し込む陽射しが温かく目を閉じ耳を澄ませば小鳥の囀りや穏やかに感じる風も心地好い。
良く眠れそう…。静かに眠りについた。
あれから何分、いや、何時間経ったのだろう。誰かの足音と刺す様な陽射しが痛くて目が覚めた。
『…ん』
覚醒していないまま辺りを見渡すと傍にサスケ君がいた。
『(気付かなかった…。寝顔見られた…)』
すると目が遭った。
「………」
『おっおはよ、』
「よう、」
『あ、えとっ…サクラちゃんとナルトは?』
「まだ来てない」
『そっか、』
「………」
『………』
はい、会話終了。
早かったな…。しかし、自分ではよくやった方だ。嫌味言われなかっただけまだいい。会話が成り立ったんだ、誉めても良いと思う。
昨日みたく「話しかけるな」なんて言われたら今度こそヘコむ。落ち込む。
パンパン、と服に付いた砂埃を払い立った。
『(誰でもいいから早く来ないかな…)』
サスケ君と二人きりなんて僕には気まずい!
空でも見てよう。ぼーっと白い雲を見ているだけなのに無心になる。なにも考えなくていい、なんだかサスケ君と二人というのは苦でしか無かったが空を眺めていると落ち着き、先程よりは苦ではなくなった。
漸く僕の願いも通じてかその後遠くからサクラちゃんが走って来た。
「サスケくーん!」
僕じゃなくサスケ君に駆け寄り恥ずかしそうに挨拶するがサスケ君の態度は素っ気なく無愛想。
「あ、ソラおはよ」
『おはよ…』
笑顔だけど何その「あ、いたんだ」的な。ついでみたいな。いいけど。
「ちょっと来て!」
『え、え?』
ふとサクラちゃんに腕を掴まれ抵抗する隙も無く先程より少し離れた場所に連れてかれた。
『いきなり何…』
「サスケ君と二人でいたけど何も無かった!?」
『(あーその事か…)特に何も無かったよ』
「ホント?」
『ほんと』
迫るサクラちゃんに肯定すればホッと安堵の息を洩らす。のも束の間、
「ソラはサスケ君の事どう思ってるの?」
いきなり!?
率直すぎる。そんな事訊かれてもどうって…。
『苦手』
としか答えようがない。
嫌い、とはまた違う。
『好きなんだろ?アイツの事』
「えっ」
図星か。なんで分かるのとばかりに顔を赤く染めた。見てれば普通に分かる事だ。
『僕でよければ協力するよ』
「本当に!?ありがとう!」
あー言ってしまった。
何やってんの自分。自らめんどくさいこと引き受けるなんて、元からそんな気無いくせに。
でもサクラちゃんとても嬉しそう。
「ソラは好きな人いないの?」
『いない』
「気になる人も?」
『うん』
「つまんないわねー」
『あはは…』
「好きな人できたら毎日楽しいわよ」
『僕は今のままで充分いいけどな…』
本当楽しそうに喋るなぁ。実際楽しいのか、好きな人と同じ班になったし。
「好きな人できたら言いなさいよ。私も協力するから!」
別に協力しなくていいと言いかけた僕の言葉も訊かず嬉しそうに歩き先程の集合場所に戻った。
『好きな人、か』
言ってみたはいいがやはり誰も思い浮かばなかった。
ヒナタは女の子だし…。シカマル?は有り得ない。チョウジはなんか違うなぁ…。
顔を紅く染め楽しそうに話すサクラちゃんはとても新鮮だった。
恋する乙女というか…。
ナルトはその数十分後に慌てて来た。
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